人間には、一人一つ「スキル」と呼ばれる特殊能力が発現する。
俺は十歳で行なわれるスキル判定式で、この世の誰も知らないスキルを得た。
しかし誰も知らないスキルゆえ、使い方が分からなかった。
独学でも何とかしようとしてみたが、何を試してもスキルは発動しなかった。
持っているスキルが使えないことが周りにバレたら、きっといじめられてしまう……!
そう思った俺は学校に通うことはせず、親の伝手で師匠を見つけ、山に籠もって修行を始めた。
いつまでもスキルを隠し通すことは、不可能だからだ。
だから、いじめられても返り討ちに出来るような実力を付けようと思ったのだ。
そうやって山に籠もって修行をした俺は、十年で剣術を極めた。そのあとさらに十年で魔法を極めた。
まあ、極めたと言っても勝手にそう思っているだけだが。
とにもかくにも。
ここまですれば、相手が誰だろうと勝てるはずだと町に下りた俺の目に映ったのは。
「…………へ?」
世界が終わる瞬間だった。