「アントラサイト。なぜお前が聖獣様と聖女コーパルの近くにいるのだ?」
なぜ……だと?
思わずそう言いたくなる王子の問い。それを、おんおんが一喝した!
『王子よ。我の命を覚えておらぬのか! 許可を得るまで聖女の視界には入るなと申したであろう!』
「聖獣様、この国の王子としまして、婚約者が聖獣様と聖女の邪魔をいたしませぬようにと……」
『アントラサイト嬢には、我と聖女の近くに在る許しを与えた。むしろ、其方の婚約者たちとの友誼を深めたいという聖女の邪魔をしているのが、其方たちなのだが?』
「滅相もございません! アントラサイト……嬢は、僕らと聖女……様の仲を誤解しておりまして!」
それを言うなら、滅相もないことでございます、だよ……。
『そのとおりだおん』
呆れ念話のおんおんが、モフモフの中から聖魔力で輝く鏡を取り出した。
お手々もモフモフかわいい。肉球!
『……これを見、聞け』
おんおん、威厳のひと言。
聖女ちゃんたちの姿が鏡に現れた。
すごい!
『私は、聖女そして学院生としましても、まだまだ未熟にございます。皆様も民とご自身の御為に、勉学にお励みくださいますよう。まずは、綺羅星のごとき皆様のご婚約者様方のもとでお過ごしくださいまし』
あ、これ知ってる!
スレで話題になった『聖女ちゃんはまともな件について』だ!
そう、聖女コーパルちゃんは、真面目に勉強したい、な子。だから、ほっといてやれよ! なんだよね。
そもそもこいつらだと、聖女じゃなくても特待生レベルな学力の聖女ちゃんには勉強を教えられないの。一緒に学ぶ、も無理。
全員、悪くはないけど、なくらいだから。
「解釈に
『そのようなものは、無い。其方たちの家々にもこちらは伝えてある。令嬢たちならびにそれぞれの家へは正式に詫びをと、国王らが申していた。追って沙汰もあろうが、其方らの有責による婚約解消となろうこと、然るべきと心せよ』
「ちちう、国王が……」
「そんな……」
「まさか……」
取り巻きたちも理解してなかったのかい!
いや、まさか、じゃないでしょうよ。
それにしても。
ざまあ全開? 展開早いなあ。
これだと私、お役目果たせてるのかな?
ちょっと、心配。
『お役目、してくれてるおんよ。おんおんに
ああ、そうかあ。
個人の願いになるから、だね。聖女ちゃん、謙虚。
『性根がなおりそうもない連中が将来国の高位に就くことを阻止する、という意味で民と国のためになる、とおんおんが判断したおん。で、聖女ちゃんに伝えて、そのあとでおんおんと一緒にあなたを呼ぶ準備をしたんだおん』
なら、私はお役目完了かな。
まあ、寂しいけど、ね。仕方ないよ。
アントラサイト様と直接会えて。お話もできたから、さ。嬉しかったよ。
あ、帰る前に、おんおんをたくさんモフモフさせてもらおうっと!
そうだ、肉球! 肉球ぷにぷにも!
『え。まだ、ばいばいには早いんだおん!』
……なんですと?