「あー、いや。お、俺はぶっちゃけお前に抱きつかれた時、心臓よか
羽理はキョトンとした顔で
それで結局元通り。
そのテンションを引きずりながら、
とりあえず服は前日とは違うものに着替えられていたから大丈夫だと踏んでいたのに、まさかシュシュのことで
***
「私、勘が鋭すぎる
思ったままを口の端の乗せたら、仁子がニヤリと笑って。
「ふふふ。怖がらせついでにもう一つ言い当ててあげましょうか?」
とか不気味なことを言ってくる。
「え……?」
この
そう思った
「ねぇ、羽理。貴女、裸男さんと一緒にいたら胸が痛くなったりしない?」
「……っ!!」
羽理が明らかにそうなったのは、それこそ昨夕から。
仁子と一緒の時にはまだ、その症状は出たことなんてないはずなのに。
(っていうか私、仁子に裸男が部長だなんて言ってないよね!? もしかして……そこも気付いてる、とかじゃ……ない、よ、ね?)
的確に裸男(
「……そんなに……分かり、やすい……?」
「分かりやすいも何も……。このところの羽理、裸男率高過ぎなんだもん。
当然よ?とばかりにドヤ顔をされた羽理は、仁子の観察眼にただただ感服するばかり。
でもそれと同時。
「多分……気付かれてないと思ってるのは羽理だけよ?
「えっ」
「ほら、羽理がランチに行けなくて私と課長だけで行った日。羽理が泊まりに行った先の相手のこと、何か知らないか?って根掘り葉掘り尋問されたもん」
「尋問……」
聞かれた、じゃないところが何気に穏やかじゃないな?と思ってしまった羽理だ。
そんなに仕事へ支障をきたしている覚えはないのだけれど、もしかしたら指摘してこないだけで、
だとしたら物凄く申し訳ないなと思って。
(あ……それでだ)
しきりに
(なのに私ったら)
先約だったとは言え、
これは――。
(近いうちに穴埋めしなきゃまずい、よね?)
羽理は今度は自分から
***
「おはよぉ~。今日も
「え? 荒木さん、何で謝ったの? まだ始業開始のベルは鳴ってないし、雑談してても何の問題もないんだけどな?」
そこまで言ってから、
「さては
と、冗談めかして柔らかく笑い掛けてくる。
そんな岳斗に、
「そ、そ、そ、そんなわけないですっ。課長は私の
思わず言わなくていい付け加えをしてしまって、岳斗に瞳を見開かれた羽理は、余計にワタワタと慌ててしまう。
「あ、あのっ、今のはえっと……へ、変な意味ではなくて、その……」
懸命に失言をリカバリーしようと頭をフル回転させている羽理の横。ニヤリと笑った仁子が、「おっ、羽理。とうとう課長本人に推し活の尻尾を掴ませちゃったかぁ~」とクスクス笑ってくるから。
羽理は仁子の口を手のひらでバフッと塞いだ。
羽理に口封じをされた仁子が、尚もムグムグと何かを言っているようだけれど、今は手を離すわけにはいかない。
(お化粧崩れたらごめんね、仁子っ。後で仁子の分まで私が働くから……その間に化粧直ししてっ!)
実は、仁子。羽理が趣味で小説を書いていて……