――東条はお湯を頭から被り、壁に手をついて項垂れる。
「……やっちまった」
ようやく冴えてきた頭で思い返すも、羞恥に顔が熱くなる。
初日の過ちをまた繰り返してしまった。これで自分のあだ名は、露出狂か変態パンツの二択になったことだろう。
身体を拭く物もなく、水の滴るままたった一つの服を着て、出口からそっと顔を出す。
「ふふっ、なに泣きそうな顔してはるんですか。これ、持ってきたで?」
出口に立っていた紗命が、彼にタオル用のシャツと掛布団を渡した。
「……どうやって」
シャツは枝の上に干していたのだ。まさか登ったのか?
「魔法を使えばお茶の子さいさいやでぇ」
彼女は東条の身体に付いている水滴を、指の一振りで空中に集めた。
「あぁああ、貴女は神だ。この恩はいつか返すぞっ」
「ふふっ、期待してるわぁ」
服を着る為引っ込んだ彼を確認する。
……紗命は集めた水を手の上に置いた。瞬間、魔法の解かれた水玉は、彼女の手を介してビチャビチャと地面に落ちる。
彼の水で濡れる自分の手を見て、ニッタリと微笑んだ。