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後書き

 ここまで物語を読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。




 この作品は、ただの異世界転生やTS(性転換)ものではなく、"自己の選択"と"運命への抗い"をテーマに描きました。




 主人公である神崎蓮――レイシア・フォン・アルザードが、戦士としての自分と王女としての自分の間で葛藤し、最終的に「王女」として生きることを決意するまでの物語は、単なる英雄譚ではなく、"生き方を選ぶ"ことそのものの象徴でもあります。




TSものとしてのこだわり


 TS(性転換)ジャンルは、ラブコメ、ファンタジー、バトルなど様々な要素を組み合わせることで、読者の共感や興味を引くことができます。本作では、「性別の変化」によるギャップや戸惑いをしっかり描きつつ、それが単なるネタやコメディに留まらないよう、"アイデンティティの模索"というテーマに落とし込みました。




 神崎蓮が王女レイシアとして目覚め、最初はその変化に戸惑うものの、次第に新たな自分を受け入れ、戦士としての誇りを持ちながら王女としての責務を果たしていく。その過程で、彼が単に「男に戻りたい」と願うのではなく、"この世界でどう生きるべきか"を考え始める姿は、TSものの一つの深化した形ではないかと考えています。




バトルと政治のバランス


 本作では、単なるバトルアクションだけでなく、王族としての政治的な駆け引き、国を治めることの責務などもテーマにしました。




 ファンタジー世界の戦争や政略結婚は、決して珍しい題材ではありませんが、主人公が"戦士"でありながら"王族"という立場に置かれることで、よりシリアスな葛藤が生まれるようにしました。




 政略結婚を迫られる場面では、レイシアが「自分の意志」と「国の未来」の狭間で揺れる姿を丁寧に描きました。特に、王子レオナルドとの対話は、単なる敵対関係ではなく、"理知的な相手との対話"を通じて、主人公の信念を際立たせる場面として意識しました。




 また、政治的な要素が多くなると、どうしても重苦しくなりがちなので、蒼真やユージンとの会話を通じて、適度に緊張を緩和するようにしています。




蒼真とユージンの存在


 本作では、二人の主要な男性キャラクター――蒼真とユージンを、主人公の成長に大きく関わる存在として配置しました。




 蒼真は、主人公の"過去"を象徴する存在です。


 彼はレイシアが"神崎蓮"であった頃の記憶を知る唯一の人物であり、幼馴染として、そして勇者としての立場から、彼女の選択を見守り続けました。




 特に、旅立ちのシーンでは、彼が「もし望むなら、すべてを捨てて残る」と告げる場面を通じて、単なる"勇者"ではなく、一人の"人間"として主人公に寄り添う姿を描きました。彼の存在があったからこそ、レイシアは自分の選択をより明確にすることができたのです。




 ユージンは、主人公の"未来"を象徴する存在です。


 彼は王女レイシアとしての"あるべき姿"を示しながらも、決して強制することなく、彼女の意思を尊重し続けました。




 「貴方がどこへ行こうと、私は貴方の剣であり続けます」という言葉は、ユージンというキャラクターのすべてを表していると言っても過言ではありません。




 二人の男性キャラクターは、主人公にとって"選択肢"ではなく、"彼女が選んだ道を支える存在"として描きたかったのです。




結末について


 物語の終盤、レイシアは政略結婚を拒否し、王女として生きる道を選びます。




 「俺は、王女レイシアとして生きる」




 この言葉がすべてを物語っています。




 この世界で、王族として、剣士として、彼女は自分の道を切り開く。


 元の世界に戻ることを望まず、新しい人生を受け入れる。




 この結末には、"選択することの強さ"を込めました。


 何かを選ぶことは、何かを捨てることでもあります。


 しかし、それでも前を向いて進むことこそが、本当の強さなのだと。




 彼女の瞳に宿る決意を、読者の皆様にも感じてもらえたら嬉しいです。




最後に


 この物語を書き終えて、改めて感じたことがあります。




 それは、"物語とは、登場人物の生き様そのもの"だということです。




 レイシアは、神崎蓮という一人の男として生まれ、異世界に転生し、王女として生きることを選びました。


 彼女の決断、彼女の迷い、彼女の戦い――それらすべてが、彼女の生き様を作り上げていきました。




 読者の皆様が、この物語を通じて、少しでも"何かを選ぶ勇気"を感じ取ってくれたなら、これ以上の喜びはありません。




 本当に、ここまで読んでくださってありがとうございました。


 そして、またどこかで新しい物語の中でお会いしましょう。。

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