「ねえねえ聞いた?」
教室内でなぜか視線が刺さる。咲夜は、後ろを振り返るか誰もいない。
コソコソと話している女子たちがたくさんいた。そして、なぜか自分をチラチラ見ている。自意識過剰だろうと気にしないようにしていたが、まさかの出来事が起きる。
「ねぇ、咲夜。噂になってるよ」
「え?! 何の話」
翼が声をかけてきた。今、教室や廊下でちらちらと見られる原因のことのようだ。
「咲夜さ、最近、悠といっしょにいること多いよね?」
「うん。なんかキスしたとか、付き合ってるとか、噂になってるけど。あんま、良くない噂も」
「え?! そうなの? それは恥ずかしいね」
全然まんざらでもない様子で対応する。
「別に噂になってもいい感じ?」
「う、うん。別に気にしないよ? 私、悠好きだし。平気」
「あ、それはいいんだけど。気持ち悪いっていう噂もあって……女子同士でキモイとか言う人いてね。気をつけて」
「ああ……、だよね。私もそう思うもん。だけど、それは個人的な感想で
本人たち関係ないよね。好きあってるなら良くない?」
「まぁ……そうだけどね。ただ、いじめられないように警告しておこうと思ってさ」
「ありがと。嬉しい。気をつけるよ」
「あ、私は、応援してるよ。2人がラブラブなの知ってるから」
「そっか。それはよかった」
咲夜は本当だろうかと疑問に思いながら、半分聞いてやり過ごす。
人を100%信用なんてできないものだ。
友達もおなじだ。
噂は気になったが、自分の気持ちには素直になろうと心に決めた。