昨日から咲夜のスマホのラインがひっきりなしに鳴る。喜怒哀楽のスタンプが意味も無く送られてくる。
送り主の相手はまさかの悠だ。
昨日丸一日ラインの返事がないことにお怒りのようでご機嫌斜めの悠は、スタンプを小刻みに咲夜に送っていた。その返答はどうすれば良いかと悩む咲夜は、ごめんねのスタンプを押して、来週の休みに一緒に出かける約束をしたら、連続スタンプはやっと途絶えた。
咲夜は胸を撫で下ろす。
そんな中で、昨日声をかけられた3年の幼馴染の大谷琉偉からのラインの返事にも対応していた。再来週の放課後に地元の幼馴染で会う約束だった。その話は本当だったのだと安心した。
声をかける口実に嘘をついたのかと思っていた。
懐かしい幼き日々を過ごしたメンバーだった。幼少期に公園で一緒に遊んだ友達。苗字は覚えていないが、
琉偉と4人で遊ぶことが多かった。家族ぐるみで親と子も仲良かった。長期の休みにBBQに行くこともあった。
家が近所だったこともある。
小学校高学年や中学になってからは引っ越しがあったり部活が忙しかったりして疎遠になっていた。
咲夜は、琉偉と悠と2人のことを考えなくてはいけなくなって、頭から煙が出そうになっていた。
好きとか嫌いとかの問題じゃない。キャパシティの問題だった。
夜も眠る時間も減っていた。
授業中まで眠くなる咲夜を翼は大丈夫かなと心配していた。
よだれをすすって、顔をあげる。
先生に指名されて、ぼんやりしたまま国語の教科書を音読した。
一気にのんびりした学校生活がハードな生活になりつつあった咲夜だった。