「咲夜〜、今日は一緒にお昼食べようね」
朝、登校してざわつく教室で、翼は咲夜の両肩に手を触れた。
「あ、昨日はごめんね。琉偉のところに行ってたんだ」
「うん、知ってる」
「え、言ってないじゃん。なんでわかるの?」
「咲夜の顔に書いてあった」
「あ、うそ。どこ??」
翼の言葉に本気にした咲夜は、頬や額を手鏡にうつして確かめた。
「何も書いてないじゃん」
「書いてあるわけないでしょう。まったく、咲夜はふわふわしてるから
集中しなさいよ。不安にさせちゃダメだよ,悠のこと」
咲夜の額にデコピンをする翼は、にかっと笑う。
「いったー。ほらぁ、赤くなったよ。今のでーーー」
手鏡で確かめて翼に報告する。咲夜のモテモテぶりに嫉妬する翼だった。
「それくらいすぐ治るわよ!!」
「……むーーー」
「咲夜、そういや、昨日悠が言ってたこと伝えるね」
咲夜の耳打ちで伝えた。悠は咲夜のことを大好きじゃなく、愛してるって言っていたよって言った。
「え、いや、嘘、嘘。ちょっと今は背筋は凍るくらい引くんですけど、マジ無理!!」
咲夜は突然席を立ち上がった。前までは告白されてものすごく嬉しかったが、ストーカー事件があってから不信感でしかない。昨日はそのことで琉偉に警護を頼んだところだった。
「……え、嬉しくないの? 悠の言葉」
「今は、ちょっと、受け入れられない」
「そ、そっかぁ、やっぱ遅かったかぁ」
「え、翼、何か、知ってたの?」
「うーん、ちょっとね。どっちの気持ちもわからないでもないけどさ。信頼関係大事だもんね」
「う、うん」
翼の言葉に頷く咲夜だった。これは軌道修正して悠が元に戻れるのか心配になってきた翼だった。