王宮での一連の事件が収束し、ステラの名誉が完全に回復してから数週間が経った。カトリーナの陰謀はすべて暴かれ、彼女は王宮から追放されるという厳しい処分を受けた。彼女に従っていた者たちもその責任を問われ、王宮内の不正は徹底的に粛清された。
一方、ステラは再び「聖女」としての称号を与えられ、王宮に戻るよう求められていた。しかし、彼女はその申し出に対して意外な返事を返した。
「王宮に戻る?いやいや、ウチ、そんな堅苦しいとこおったら、窒息してまうわ。」
その言葉に、カルヴィンや貴族たちは驚きを隠せなかった。
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浪速流の選択
ステラは王宮を去り、再び村々を巡る旅に出ることを決めた。彼女が選んだのは、民衆の中で暮らしながら、直接彼らの声を聞き、力を貸すという生き方だった。
「ウチの居場所はな、やっぱりみんなの近くやねん。王宮で偉そうにしてるより、こっちの方が性に合っとるわ。」
彼女のその決断に、王太子カルヴィンは深く考え込んだ後、静かに頷いた。
「君がそう言うのなら、私たちはそれを尊重しよう。ただし、一つだけ約束してほしい。」
「なんや?」
「困ったことがあれば、必ず王宮に助けを求めることだ。」
カルヴィンの真剣な言葉に、ステラは飴を口に放り込みながら軽く笑った。
「分かった分かった。ほな、困ったら甘えさせてもらうわ。」
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旅の途中
旅の途中、ステラは各地で人々の問題を解決し、その名をさらに広めていった。飴を配りながら、軽妙な口調で話しかける彼女の姿に、人々は親しみと尊敬を抱いた。
「ステラ様が来てくれて、本当に助かりました!」
「いやいや、大したことしてへんよ。ほな、これでも舐めて元気出しや。」
彼女が飴を手渡すと、子どもたちは目を輝かせ、村人たちは笑顔を浮かべた。その飴は単なるお菓子以上の意味を持っていた。それは、彼女の思いやりと優しさの象徴であり、人々を繋ぐ小さな絆となっていた。
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エリオットの同行
旅にはエリオットも同行していた。彼は王宮に戻ることを一度も考えず、ステラと共に歩むことを選んだ。
「エリオット、王宮に帰らんでええんか?」
「私の居場所はステラ様のそばです。あなたがどこに行こうとも、私はお供します。」
その忠実さに、ステラは少しだけ照れた様子を見せた。
「ほんま、堅苦しいやっちゃな。まあ、ウチもエリオットがおった方が助かるけどな。」
二人の絆は、王宮での事件を経てさらに深まっていた。
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新しい未来
旅を続ける中で、ステラは次第に「聖女」という枠に囚われない存在へと変わっていった。人々の間では、彼女のことを「浪速の奇跡」と呼ぶ者も現れるほどだった。
彼女の行動は王宮にも影響を与え、カルヴィンを中心とした新たな改革が進められていた。貴族たちの間でも、「ステラのように誠実であれ」という言葉が合言葉のように広まっていった。
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最後の場面
ある日の夕暮れ時、ステラは小高い丘の上に立ち、遠くに広がる王宮を見下ろしていた。隣にはエリオットが立っている。
「なあ、エリオット。」
「はい、ステラ様。」
「ウチ、これでほんまによかったんやろか。」
「もちろんです。ステラ様が選んだ道は、誰もが認める正しい道です。」
その言葉に、ステラは少しだけ寂しそうに笑った。
「そっか。まあ、ウチはこれからも自分のやり方でやっていくわ。」
「それが一番です。」
夕陽が二人を照らし、ステラの飴の包みがキラリと光を反射した。
「ほな、次の村に行こか。飴も配らなあかんしな。」
「はい。」
二人の足音が静かに草原を踏みしめていく。その後ろ姿は、未来への希望そのものだった。
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結びの言葉
ステラの旅は終わらない。浪速魂を胸に、彼女はこれからも笑顔と飴を携えて、人々のために歩き続ける。彼女の名は、やがて伝説として語り継がれることになるだろう。しかし、彼女にとって大切なのは「伝説」になることではなく、目の前の一人ひとりの笑顔だった。
「ウチの人生、まだまだこれからや。何度でも一花も二花も咲かせたるで!」
そう心に誓い、ステラは新たな未来へと歩み出したのだった。