王宮での儀式会場は、ステラの大胆な行動と浪速流の逆転劇によって、完全に様相を変えていた。カトリーナの嘘は暴かれ、王太子カルヴィンとの対話を通じて、ステラの信念と行動が貴族たちの心を掴んだ。だが、ここで終わりではなかった。ステラの完全な名誉回復には、王宮全体からの正式な承認が必要だった。
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貴族会議の始まり
その日、王宮内の大広間では特別な貴族会議が開かれていた。集まったのは、王国を代表する大貴族たち、神官団の長、そして王太子カルヴィンだった。議題はただ一つ──「ステラの名誉を完全に回復すること」。
壇上に立つステラは、普段の軽妙な態度を少し控えめにし、真剣な表情を浮かべていた。エリオットはその横に控え、彼女を見守っている。
「ステラ様、緊張されているのですか?」
エリオットの問いに、ステラは飴を取り出しながら答えた。
「そんなんするわけないやろ。ただ、こういう堅苦しい場はどうも性に合わんだけや。」
彼女は飴を口に放り込み、少しだけ肩の力を抜いた。
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カトリーナの裁き
最初に話題となったのは、カトリーナの処遇だった。王太子カルヴィンが立ち上がり、冷静な口調で発言を始める。
「カトリーナの行動は、王国全体を混乱に陥れるものでした。その罪は重く、厳しい処分が必要です。」
彼の言葉に、貴族たちの間から同意の声が上がった。
「確かに、あのような行為は許されるべきではない。」
「王国の名誉を損なう行為だ。」
一方で、カトリーナはその場に連行され、肩を震わせながらうつむいていた。彼女が何を言っても、もはや誰も耳を貸す者はいなかった。
「カトリーナには、王宮からの追放と、全ての称号剥奪を命じます。」
カルヴィンの決定に、貴族たちは満場一致で賛成した。
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ステラの完全な名誉回復
次に進められたのは、ステラの名誉回復についてだった。
「さて、次はステラの名誉回復について議論を進める。」
カルヴィンの宣言に、貴族たちは静かに耳を傾けた。その場にいた多くの者が、すでにステラを再び聖女として迎えるべきだと考えていたが、公式な場での決定が必要だった。
ステラは壇上から一歩前に出て、会場全体を見渡した。
「みんなに一つだけ言いたいことがあるんや。」
その一言に、貴族たちの視線が彼女に集中する。
「ウチが戻ってきたんは、自分の名誉を回復したいからだけやない。この王国をもっとええ場所にしたいと思ったからや。」
その真摯な言葉に、会場内の空気が変わった。
「みんなも一緒に考えてほしいんや。この国をどないしたら、もっと多くの人が笑顔になれるかって。」
ステラの言葉に、多くの貴族たちが頷き始めた。彼女の言葉には嘘偽りのない誠実さがあり、それが彼らの心を動かしていた。
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王の最終決定
貴族たちの意見がまとまる中、会場の奥から重々しい声が響いた。
「ステラよ、私が最後の判断を下そう。」
王が現れ、その場にいた全員が跪く。ステラも慌てて頭を下げるが、飴を口に入れたままだったため、少し不格好になった。
「おお、すまんな、飴で手が滑ったんや。」
その軽妙な一言に、会場全体が和やかな雰囲気に包まれた。
王は微笑みながら続ける。
「君の行動を見て、私は確信した。君こそが真の聖女であり、この王国に必要な存在だ。」
その言葉に、ステラは驚きながらも、すぐに笑顔を浮かべた。
「そない言うてもらえるなんて、光栄やわ。」
「これより、ステラを正式に王国の聖女として迎え入れる。そして、彼女に与えられた追放の処分は完全に撤回する。」
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歓声と祝福
王の宣言に、会場は拍手と歓声で満ちた。ステラの名誉は完全に回復され、彼女の存在が再び王国全体に認められた瞬間だった。
エリオットが彼女の隣に立ち、小声で囁いた。
「おめでとうございます、ステラ様。」
「いや、そんな大げさにせんといて。これがスタートやからな。」
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未来への期待
その後、ステラは壇上から降り、貴族たちと軽く言葉を交わしながら、これからの計画を練り始めた。彼女の周りには常に笑顔と期待が溢れていた。
「ウチができることはまだまだいっぱいある。この国をもっとええ場所にするために、どんどん動くで!」
彼女の浪速魂は、これからも王国を照らし続けるのだった。
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