リディアとの連携が始まり、ジュリアはアルフレッドの隠された不正の証拠を見つけるための情報をさらに収集していた。リディアから得た手掛かりによれば、アルフレッドの書斎の奥には隠し部屋があり、そこに彼の不正行為を裏付ける書類が保管されている可能性が高いという。ジュリアはその部屋にアクセスするための具体的な計画を立て始めた。
---
リディアの新たな告白
ある夕方、ジュリアとリディアは再び密会した。リディアは、アルフレッドが使用している隠し部屋の詳細について、さらに記憶を辿りながら語り始めた。
「その部屋の扉は、彼の書斎の奥にある本棚の裏側に隠されています。」
リディアは静かな声で言った。「鍵は彼の机の引き出しにありますが、その引き出し自体も暗号式のロックで守られているんです。」
ジュリアは驚きながらも、冷静に頷いた。
「ということは、まず机のロックを解除して鍵を手に入れ、それから隠し部屋に入らなければならないということね。」
「ええ、でも……隠し部屋にはもう一つの仕掛けがあります。扉を開けるためには、特定の順番で本棚の本を動かさなければならないんです。」
リディアは困ったように言った。「私が覚えている限りでは、彼はその順番を従者にしか話していません。」
ジュリアはその言葉を聞いて深く考え込んだ。アルフレッドは予想以上に用心深く、不正の証拠を隠すために徹底した手段を講じていた。しかし、それでもジュリアは諦めるわけにはいかなかった。
---
計画の準備
ジュリアはこの情報を基に、リディアとともに行動計画を立てることにした。彼女はまず、アルフレッドの従者たちの行動を監視し、隠し部屋の仕掛けに関する情報を引き出す方法を考えた。
「リディア、あなたが従者たちと接触して、少しでも彼らの話からヒントを得られるようにしてくれないかしら。」
ジュリアは提案した。
リディアは一瞬ためらったが、やがて頷いた。
「分かりました。彼らを警戒させないように、さりげなく話を引き出してみます。」
「ありがとう。あなたがいなければこの計画は進められないわ。」
ジュリアは彼女に感謝を伝えた。
---
従者からの情報収集
数日後、リディアは従者たちと話をする中で、いくつかの重要な情報を得た。隠し部屋の扉を開ける順番に関するヒントや、机の引き出しの暗号の形式など、細かい内容が少しずつ明らかになってきた。
「彼らが言うには、机のロックは三桁の数字で解除する仕組みらしいです。」
リディアはジュリアに報告した。「その数字はアルフレッドにとって特別なものだと言っていました。」
ジュリアは眉をひそめた。
「彼にとって特別な数字……例えば、彼の誕生日や結婚記念日などかしら?」
「おそらくそうです。でも、従者たちも詳細は知らないようです。ただ、彼がよく書類に記している『271』という数字を耳にしたことがあります。」
リディアの言葉に、ジュリアは小さく頷いた。
「それが鍵かもしれないわね。」
ジュリアは決意を込めて言った。「でも、まだ慎重に動かなければならないわ。」
---
隠し部屋への挑戦
アルフレッドが屋敷を空ける予定がある日、ジュリアはリディアとともに隠し部屋への侵入を試みる計画を実行に移した。彼が国外の商業連合との交渉のために数日間不在になることを確認し、その間に証拠を探すことに決めたのだ。
「リディア、準備はいい?」
ジュリアは静かな声で問いかけた。
「はい。でも、少し緊張しています。」
リディアは不安そうに答えた。
「大丈夫よ。私たちならできるわ。」
ジュリアは彼女を励まし、行動を開始した。
二人は屋敷内に入り込み、慎重に書斎へと足を運んだ。書斎の扉を開けると、豪華な調度品と膨大な書類が並ぶ空間が広がっていた。ジュリアはすぐに机の引き出しに目を向け、リディアが話していた暗号式のロックを見つけた。
「これがそのロックね。」
ジュリアは小声で言いながら、リディアから聞いていた数字『271』を入力した。
引き出しは静かな音を立てて開き、中には鍵が収められていた。ジュリアはそれを手に取り、リディアとともに本棚の方へ向かった。
---
真実への一歩
リディアが話していた通り、本棚の裏には隠し扉があった。ジュリアは鍵を使い、その扉を慎重に開けた。扉の向こうには小さな部屋が広がっており、そこには書類が積み上げられていた。
ジュリアは書類を一つ一つ確認し、その中にアルフレッドの不正行為を裏付ける記録を発見した。それは、国外の商業連合との不正取引に関する詳細な契約書や、資金の流れを示す帳簿だった。
「これで彼を追い詰めることができる……!」
ジュリアは息を飲みながら呟いた。
リディアもその場に立ち尽くしながら言った。
「これが彼の本性……私たちは正しかったんですね。」
---
証拠を手に
ジュリアはすべての書類を丁寧にまとめ、リディアとともに屋敷を後にした。その瞳には確固たる決意が宿っていた。これでアルフレッドを追い詰めるための準備は整ったのだ。
「これが私たちの反撃の始まりよ。」
ジュリアは静かにそう呟きながら、証拠を手に新たな一歩を踏み出した。