薬草園の設立によって王国の医療基盤を支える第一歩を踏み出したリラ。しかし、彼女はここで満足することなく、さらなる目標を掲げて活動を広げようとしていた。それは、薬草園だけでなく、薬の知識を広く共有し、王国全土で医療を支える人材を育成することだった。
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医療学院の構想
薬草園の完成から数週間後、リラはセリウスや王太后と相談し、新たな計画を打ち出した。それは、薬草の栽培だけでなく、薬学や治療法を学ぶ医療学院を設立することだった。
「薬草園だけでは、王国全体の医療を支えるのは難しいわ。次のステップとして、薬の知識を体系的に学べる場所を作りたいの。」
リラの提案に、セリウスは頷きながら言った。
「素晴らしい案だよ。薬草園で得られる資源と知識を活かせば、未来の治療者たちを育てることができる。長期的な視点でも、それは王国にとって大きな財産になる。」
王太后もその案に賛同し、王国の資金を一部提供することを約束した。
「リラ、あなたの計画には、私も全面的に協力します。この学院が王国を救う力になることを信じています。」
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土地の選定と人材募集
学院設立の第一歩として、適切な土地の選定が始まった。リラは薬草園に隣接する広大な土地を候補地とし、そこに学院を建てる計画を立てた。その場所ならば、薬草の調達も容易であり、学生たちが実地で学ぶ環境としても理想的だった。
さらに、学院で教えるための講師となる人材を探す必要があった。リラはこれまでに出会った医療に熱意を持つ人々に声をかけ、協力を依頼した。
「リラさん、私でよければ協力します。王国全体の医療を支える一助になれるなら、これ以上の喜びはありません。」
「ぜひ、私も参加させてください! あなたの活動にずっと感銘を受けていました。」
こうして、多くの賛同者が集まり、学院の基盤が少しずつ整っていった。
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セリウスの提案
準備が進む中、セリウスはリラに一つの提案をした。
「学院を作るだけではなく、王国の遠隔地にも知識を届ける仕組みを作ろう。例えば、学院で学んだ生徒たちが各地で診療所を開くようにするんだ。」
その言葉に、リラの瞳が輝いた。
「それは素晴らしい考えね! 学院で学んだ人たちが各地で活動すれば、王国全体の医療が一気に広がるわ。」
リラはその提案を取り入れ、学院設立の計画に加えることにした。
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学院設立に向けた苦難
学院設立は簡単な道ではなかった。貴族の中には、この計画に反対する者もいた。
「医療学院など、平民に知識を与える必要はない。我々貴族が治療を受けられればそれで十分だ。」
その言葉に、リラは毅然と反論した。
「医療はすべての人々にとって必要なものです。王国の未来を考えるならば、すべての人が平等に治療を受けられる環境を整えるべきです。」
リラの強い意志に、多くの貴族たちも次第に態度を変えていった。彼女の誠実さと情熱が、反対派の心を動かしたのだ。
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学院の完成
数か月にわたる努力の末、医療学院がついに完成した。壮大な校舎と充実した設備が整い、学院の門には「エトワール医療学院」の名が掲げられた。その名は、リラの努力と信念を象徴するものだった。
開校式では、多くの人々が集まり、リラの功績を称えた。リラは壇上に立ち、静かに、しかし力強く語った。
「この学院は、私たち全員の力で作り上げたものです。ここで学ぶ人々が、王国中の人々を助ける力となることを願っています。そして、この学院が、すべての人々の希望の光となるように。」
その言葉に、大きな拍手と歓声が沸き起こった。
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未来を担う人々
学院が開校してから数週間後、リラは学院で学ぶ学生たちの様子を見守っていた。彼らが薬草の調合を学び、治療法を実践的に学ぶ姿に、リラは未来への希望を感じた。
「これからは、私一人が頑張るのではなく、この学院で学んだ人たちが王国全体を支える力となっていくのね。」
セリウスが彼女に微笑みかけながら言った。
「君の志がこうして形になったんだ。これからは、もっと多くの人が君の意思を受け継いでいくだろう。」
リラは彼の言葉に頷き、決意を新たにした。
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さらなる挑戦へ
エトワール医療学院の成功は、リラにとって大きな達成だった。しかし、彼女はそこで満足することなく、次の目標に向けて歩み始めた。
「この学院を基盤にして、もっと多くの命を救える仕組みを作りたい。それが私の使命だから。」
その言葉とともに、リラは新たな挑戦に向けて再び歩み出した。その背中には、かつての苦しみを乗り越えた者だけが持つ確かな自信と未来への希望が宿っていた。
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