ヴィヴィアンとアルトールが失脚し、リラが王宮での陰謀を暴いてから数週間が経った。王宮と王都の秩序は徐々に回復しつつあり、病の流行もリラの尽力によって鎮静化し始めていた。しかし、リラはここで立ち止まることなく、自身の使命を果たすため、新たな挑戦を見据えていた。
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新たな薬草園の構想
王宮内での調査を通じて、リラは王国全体の医療体制が非常に脆弱であることを痛感していた。特に、薬草の供給量が需要に対して圧倒的に不足していることが、今回の病の拡大を招いた一因であると考えた。
「このままでは、また同じようなことが起きるわ。」
リラは、セリウスや王太后と話し合い、新たな薬草園を設立することを提案した。これにより、王国全土に薬草を供給し、医療体制を強化できると考えたのだ。
王太后はその案に賛同し、リラに協力を約束した。
「リラ、あなたのような知識と情熱を持った人が、この王国には必要です。薬草園の設立に関する費用は、私が支援しましょう。」
その言葉に、リラは深く頭を下げた。
「ありがとうございます。これからも、多くの人々を助けるために努力します。」
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薬草園設立への準備
リラは王宮を離れ、薬草園の候補地として推奨された王都近郊の広大な土地を訪れた。そこは肥沃な土壌を持ち、薬草を育てるのに理想的な場所だった。
「ここなら、さまざまな種類の薬草を育てられそうね。」
リラはその場で土壌を調べながら、可能性に胸を膨らませた。
彼女はすぐに、薬草園の設計図を描き始め、必要な設備や人員のリストを作成した。村や町でリラの活動を支援してくれた人々も、この計画に協力を申し出た。
「リラさん、私たちも手伝わせてください!」
「あなたが私たちを助けてくれたように、今度は私たちがあなたを支える番です!」
その言葉に、リラは目頭が熱くなるのを感じた。
「皆さん、本当にありがとうございます。この薬草園は、私たち全員の力で作り上げましょう。」
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セリウスの支え
薬草園の設立に向けた準備が進む中、セリウスはリラのそばで常に彼女を支えていた。彼はリラの提案に対して的確な助言を与え、時には重い資材を運ぶ労働も進んで引き受けた。
ある日の夕方、リラは薬草園の設計図を手に、セリウスとともに土地を見渡していた。
「セリウスさん、本当にありがとう。あなたがいなければ、ここまで来ることはできなかったわ。」
セリウスは優しく微笑みながら言った。
「君がやろうとしていることは、本当に素晴らしい。僕はただ、その手助けをしているだけだよ。」
その言葉に、リラは心から感謝し、改めて彼に支えられていることを実感した。
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王都での影響力の拡大
薬草園の計画が広がるにつれ、王都の貴族たちもリラに注目するようになった。かつて彼女を蔑んでいた者たちが、今では彼女の知識と実績を認め、協力を申し出てきた。
「リラ様、ぜひ我が家の土地を薬草栽培にお使いください。」
「私たちも資金を提供したいと思っています。」
そのような申し出が次々と舞い込み、リラはかつてない影響力を持つようになった。しかし、彼女は決して驕ることなく、慎重に対応を続けた。
「ありがとうございます。ただ、これは一人で成し遂げられることではありません。皆さんの協力に心から感謝します。」
リラの謙虚な態度と誠実さは、多くの人々の心を動かし、彼女を中心に新たな信頼の輪が広がっていった。
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薬草園の完成
数ヶ月の努力を経て、ついに薬草園が完成した。その広大な敷地には、数えきれないほどの薬草が植えられ、専用の調合施設や倉庫も設けられた。リラはその光景を眺めながら、達成感と希望に満ちた表情を浮かべた。
「これが、私たちの新しい一歩ね。」
彼女は村や町から集まった協力者たちに向けて感謝の言葉を述べた。
「この薬草園は、私たち全員の力で作り上げたものです。これから、この場所を通じて多くの命を救いましょう。」
その言葉に、人々は拍手と歓声を送り、彼女の決意に応えるように誓いを立てた。
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新たな旅の始まり
薬草園が稼働を始めたことで、リラの活動はさらに広がりを見せた。彼女は薬草園を基盤にしながら、王国全土で医療体制を整えるための活動を続けていった。
夜空を見上げるリラの瞳には、これまでの苦しみと困難を乗り越えた者だけが持つ強い光が宿っていた。
「私はこれからも、たとえどんな困難が待っていても、人々を助けるために歩み続ける。」
その言葉とともに、彼女の新たな旅が静かに、しかし力強く始まったのだった。