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物語は仕掛けでできている
物語は仕掛けでできている
雨宮徹
文芸・その他ノンジャンル
2025年05月19日
公開日
6,978字
連載中
物語は、ただ思いつきで書いているわけではありません。読者を引き込むための“仕掛け”があり、“構成”があり、“演出”があります。 この連載では、自作を題材に、具体的にどこをどう設計し、どんな効果を狙ったかを深堀りします。 ジャンルはミステリーからSF、歴史まで。 ※カクヨムにもマルチ投稿しています。

【SF】ロボット三原則に従えば

ロボット三原則に従えば

https://www.neopage.com/book/32583333125723300



ネタバレ防止のため空行を設けます。








 本作ですが、タイトル通り「ロボット三原則」を軸にした作品です。簡単にまとめると、「ロボットは、人間を傷つけてはいけない」というものです。三原則単体で作品を書いても、ただのSF作品で終わってしまいます。せっかく三原則を扱うのなら、SF好きだけではなく幅広い層にアプローチしたいと考えました。悩んだ結果、「トロッコ問題」と掛け合わせることにしました。「トロッコ問題」は「ある人を救うと、別の人が犠牲になる」という条件でどういう選択をするか? が焦点です。



◼️なぜ、「トロッコ問題」なのか?


 なぜ、「トロッコ問題」をサブ要素に選んだのか。この問題は、人間がトロッコの切り替えポイントにいることがキーです。では、ロボットならどうか? と考えました。三原則に従うならば、どちらを選んでも人間が犠牲になります。ですから、ロボットに究極の選択を突き付けて、その選択が正しかったのか読者に問いかける狙いがありました。



 物語の結末としては、ロボットは自身が切り替えポイントに横たわることを選びます。つまり、人間を傷つけないことを優先するために自己犠牲を選んだのです。この結末を通して、読者に「命とはなにか?」「ロボットに心はあるのか?」を考えて欲しかったのです。



◼️独自理論「3Kと4C」


 この問いを読者に考えてもらうには、幅広い層にアプローチしなくてはなりません。そこで、独自理論である「3Kと4C」を意識しました。この理論は、下記のような内容・要素で構成されています。



3K……「共感」「(長編なら)継続」「感動」

4C……「キャッチコピー」「クリフハンガー」「(読者との)コミュニケーション」「コンテスト(投稿タイミング)」



 これらのうち、三つ以上を満たしていると幅広い読者にアプローチできると考えます。『ロボット三原則に従えば』は「感動」「共感」「コンテスト」の三つの要素を満たしています。「コンテスト」については、当時カクヨムコンテスト9が開催中でした。この時期は読み専門の方の目に触れやすく、タイミングとしてベストでした。


 これらの戦略を駆使した結果、カクヨムコンテスト9で中間選考を突破しました。カクヨムをはじめて一か月、かつ、執筆歴二か月でした。この結果は、執筆を続けることの自信になりました。「3Kと4C」は、現在も意識しています。私は短編が多いため、「継続」を満たすことは難しいです。そこで、「共感」「感動」を意識しています。



 「共感」と「感動」を意識するのは、他にも理由があります。小説投稿サイトには毎日多くの作品が投稿されます。その中で、より多くの人に読まれたいという気持ちが生まれるかと思います。これを実現するには、流行を研究し、読者の求める作品を書く必要があります。ただ、これだと書きたい内容を自由に書けない、という制約がつきます。もちろん、書きたいように書いて評価される才能がある方もいます。しかし、それは少数派です。


 PVだけを追うならば、「流行を意識して読まれる」ように書けばいいのですが、それではあくまでも「読者に消費される」だけです。小説は非日常を「体験する・提供する」ものだと考えます。消費と体験には大きな違いがあります。


 私は今後も「読者に読まれる」かつ「非日常を提供する」ということを意識し続けます。私の小説家としての矜持として。


 この創作論が、あなたの物語にも小さなヒントをもたらせば幸いです。



参考

ロボット三原則に従えば

https://www.neopage.com/book/32583333125723300

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