ギルドの受付嬢、腹黒すぎてごめんなさい
https://www.neopage.com/book/32699337727600000
ネタバレ防止のため空行を設けます。
本作ですが、ネオページにて開催された「受付嬢」をテーマに据えたコンテスト用作品です。執筆するにあたり、「受付嬢」には、どんなイメージがあるかを考えました。多くの人が「清楚」「優しい」「丁寧」などを連想するかと思います。この印象をもとに執筆するのもアリですが、それでは他の方の作品との差別化ができません。コンテストであるからには、読者や審査員にインパクトを与えるのがよいと考えました。
では、どうやって印象に残る作品にするか。先ほどの「清楚」「丁寧」といったイメージを壊すのはどうかと考えました。つまり、ギャップでインパクトを出す作戦です。そこで「毒舌な受付嬢」という設定に落ち着きました。しかし、毒舌であることにも理由が必要です。そこで、各エピソードの冒頭で「イラっとする冒険者」を登場させることにしました。そして、その冒険者を知識や知恵でやり返して、スカッとする。これであれば、毒舌なのも自然です。
■読者に共感してもらうには
この構成には、別の意図もあります。それは、「読者に共感してもらう」という狙いです。現実の中で、「上司に理不尽に怒鳴られた」「納得のいかないルールを押し付けられた」「口下手で反論できなかった」――そんな経験が誰にでもあるはずです。それを創作に昇華しました。現実で言い返せなかった分、小説の中では堂々と論破する。黙らせる。やり返す。すると、読者もこう思うのです。「わかる、それあるわ」「よし、やってやれ!」と。作者の怒りと、読者の怒りが一致したとき、作品は一気に読まれると考えます。
■ なぜ短編なのか?
本作は連作短編です。これもある考えのもとに、この形式を選択しました。「成り上がり」の作品の多くは、一話目で「追放」「没落」をして、その後は右肩上がりに進みます。これらは、読者から支持されやすいですが、インフレさせ続けなければなりません。インフレにも限界があります。
一話完結形式なら、読者も「今回はどんなざまぁが来るのか」と、気軽に楽しめます。冒頭で「イラッとさせるエピソード」を提示し、最後に「スカッとする逆転劇」で締める。読者の感情を丁寧に導き、満足度を最大化する構造です。
しかも、これなら毎話ごとに「イラッ→ざまぁ」で完結するため、インフレの必要がない。それぞれの話が独立していても、同じ快感を読者に提供できます。
「ざまぁ」する物語を書くにあたり、いきなり長編でチャレンジすると、インフレの限界値に達した時に筆が止まり未完で終わりかねません。ですから、まずは連作短編で試すことをおすすめします。
参考
ギルドの受付嬢、腹黒すぎてごめんなさい
https://www.neopage.com/book/32699337727600000