(新星歴4818年1月1日)
今日は茜に言われて、ギルガンギルの塔の隠れ家で俺は一人で思いにふけっていた。
茜のおかげでドルグ帝国は救われ、やっと通常に戻ったギルガンギル。
俺もリナーリアの桁外れの回復魔法で今までよりも調子がいいほどだ。
ムクは俺が必死だったせいか途轍もなく強化してしまい『健康』と『寿命無効』を付与してしまっていた。
種族も『改造済みドッペルゲンガー』となっていた。
どうしても死なせない!そういう気持ちが称号『魔王に近しもの』まで付与していたのを確認したときには、ネルとナハムザートにおねだりする様な目で見られたものだ。
茜は奴を倒したおかげで存在値が爆上がりしていた。
俺がかつて作ったルールのはずなのに、なぜか茜の成長速度はそれを凌駕するようだ。
ドルグ帝国の市民たちを浄化したことも経験値に付加されたのだろうが驚きだ。
茜の今の存在値は140000を超えた。
神器装備時は160000以上。
遂に最盛期の俺に近い高みにまで来てしまったのだ。
「はあ、もう絶対に勝てない」
俺は嬉しいため息をついたのだった。
そんなことを考えていると、空間が軋み誰かが俺の隠れ家へと転移してきた。
「ん?!……茜か……えっ?」
そこには髪を丁寧に結い、煌びやかな髪飾りと俺が以前プレゼントした髪留めをつけ、ピンク色と薄い緑色で染められた見事な着物姿の茜が立っていた。
「光喜さん……どう?」
はにかみながら恥ずかしそうに顔を染める茜。
なんだこれ?やばすぎるだろ!メチャクチャ可愛い!
「………きれいだ…………かわいい」
まるで壊れたラジオのように口にするしかできなかった。
「うれしい」
二人して見つめ合い、たっぷり数分はフリーズしていた。
そしてさらに空間がきしむ。
一気に女性陣が大量に転移してきた。
「はあああーーーーー絶景だ」
皆が色とりどりの着物を着て、俺に麗しい姿を披露してくれた。
ネルは髪の色に近い濃い青色の着物を着ている。
大きな白い花がセンス良くちりばめられており、とても美しい。
腰を巻く上品な帯が、ネルの美しい凹凸を際立たせていた。
余りのスタイルの良さに、思わずつばを飲み込んでしまう。
「ネル、奇麗だ……俺は幸せ者だ」
思わずつぶやく。
ネルは顔を赤く染めそっと俺に寄り添った。
「ノアーナ様……嬉しいです」
「ノアーナ様♡えいっ!」
美しいボタンのような花の染め物が上品な黄色い着物を着たアースノートが、俺に何かを投げつけ、一瞬で俺も紋付に袴の衣装に包まれた。
「かっこいい―――――♡」
どうやら好評の様で良かった。
「アート、奇麗だ」
俺は思わず抱き寄せる。
途端に染まる美少女フェイス。
アースノートの結い上げた美しいエメラルドグリーンの髪と黄色い着物がよく似合う。
「こほん。ノアーナ様。わたくしたちも見てくださいな」
落ち着いたベージュのシックな着物に身を包んだモンスレアナが声をかけた。
高身長で比較的スレンダーなモンスレアナの美しさがひときわ際立っていた。
さらりと流れるおくれ毛が、美しい彼女の色気を引き立てる。
「………美しい…………」
惚けてしまう。
顔を染めるモンスレアナ。
なんだこれ?
ここは天国か?
そしてすっと前に出てきたダラスリニア。
胸を強調し短い丈の黒を基調とした美しい模様の着物から見える白い足がなまめかしい。
あえて髪を結わずに、リボンでまとめサイドに流す髪が色香を放つ。
モジモジと顔を赤く染め上目づかいで俺を見つめる。
「うわー、やばい。超かわいい!」
思わず素で声が出る。
不味い。
抱きしめたい。
そのまま……
俺の目に激しい愛欲の色がともる。
ダラスリニアが吐息とともにささやく。
「……召し上がれ♡…」
突然茜に頭をはたかれる。
「もう、こ、ノアーナ様?ちょっと落ち着いてよ。…ダニーちゃんそれ反則」
「……むう………わかった」
どうやら何か仕掛けをしていたようだ。
アースノートと目を合わせてやがる。
あっぶねー。
理性が吹き飛びそうだった。
「ノアーナ様?私も見てください」
そして衝撃が俺を包む。
大人姿のエリスラーナが、光沢のある上品な紫色と黒でセンス良くあつらえた着物を完璧に着こなしてそこに立っていた。
神たちは普段化粧などしない。
元々美しいのだ。
エリスラーナは着物に会う化粧を施し、妖艶に笑う。
凄まじいプロポーションと妖艶な雰囲気に、俺は瞬きを忘れるくらい見蕩れていた。
「どうですか?………褒めてほしい」
俺はそっと抱き寄せる。
「ああ、最高に美しい。エリス。怖いだろうに……ありがとう」
「うん。……頑張ってよかった」
美しい顔が真っ赤に染まる。
うああああああ!!可愛すぎるだろ!!!!
「あら、ノアーナ様?私も見てくださいね」
アルテミリスが薄紅色の着物で美しく歩み寄ってきた。
美しい髪を丁寧に結い上げ、白いうなじが色香を放つ。
整いすぎたかんばせがうっすら桜色に色づき、赤い唇は俺の目を離さない。
抜群のプロポーションを惜しげもなく引き立てる薄紅色の着物を彼女の魅力をこれまでかと引き立てる着こなしが、俺の鼓動を早くする。
「ああ、なんて奇麗なんだ。アルテ、君は美しい」
「嬉しいです。ノアーナ様も素敵ですよ」
顔を赤く染め見つめ合う。
ああ、俺は本当に幸せ者だ。
そして改めて美しい俺の大切な彼女たちと化粧が取れない程度の優しいキスと、着崩さないように気を付けながら柔らかくも美しい彼女たちを抱きしめて、最高の一日は過ぎていった。
勿論ア―スノートに頼んで画像・映像共にしっかりと保存してもらった。
その後三日ほどたっぷり時間を使い、ひとりずつ順番に想いを共有したのは言うまでもない。
※※※※※
どうやら茜の提案で、新年なのでオシャレしよう。
とのことだったらしい。
確かにここのところ色々事件があり過ぎた。
着物が着崩れていく様に興奮していた俺に、顔を真っ赤に染めながら茜が教えてくれた。
「もう、光喜さんの…エッチ♡……喜んでいただけましたか?……」
最強の勇者様は、きっと世界で一番かわいい姿を俺に見せてくれた。
いや、順番などつけられない!
つけられるものかっ!!!
当たり前だ!
俺の彼女たちは世界で最高に可愛くて美しくて。
そして俺は最高の幸せ者なのだから。
一人寂しく会議室でゲームをしていたアグアニードの事をすっかり忘れており、しばらく拗ねられはしたが。
最高の三日間を過ごすことができた。
今年も頑張れると確信しながら。
お正月、最高でした。