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第153話 ダラスリニアとエリスラーナの愛情表現

(新星歴4818年7月26日)


ずいぶん長くモンスレアナに甘えてしまっていた。

俺は申し訳ない気持ちでモンスレアナに口を開く。


「すまない、疲れただろう?……帰っておやすみ」

「いえ、嬉しかったですわ。でも、そうですわね。戻ります。他の子にバトンタッチしないと恨まれますから」


そしてとても魅力的な笑顔を見せモンスレアナは転移していった。


魔刻計が、日が変わったと告げていた。

俺は大きく伸びをし、再びベッドへ寝転んだ。


とても癒されており、真核のダメージは軽減していることに喜びを感じていた。


「本当に俺は幸せ者だな」


そして空間が軋みダラスリニアとエリスラーナが転移してきた。

魔刻計は午前1時を過ぎたところだ。


「いらっしゃい。もう遅いが大丈夫か?」


神とはいえダラスリニアは16歳くらいだし、エリスラーナに至っては8歳だ。

もう寝る時間のはずだ。


「……ノアーナ様。……添い寝してほしい」

「ん。わたしも」


どうやら添い寝をご希望のようだ。

二人とも可愛いパジャマを着ている。


「そうだな。たまには一緒に寝るのもいいかもな。おいで」


二人は頷くと嬉しそうに俺のベッドに入ってきた。

そして両側から抱き着いてくる。


ダラスリニアの胸の破壊力がすさまじいが俺はなるべく意識しないようにした。

きっと二人に今はそういう感情はないだろうから。


俺は二人を両手で優しく抱き寄せる。

優しい心の落ち着く匂いが俺を包み込む。


布団をかけ、3人の温かさが共有されていく。


「こうしていると安心。ノアーナ様あったかい」


エリスラーナがいたずらっ子のような顔で可愛く話す。


「ああ、エリスの可愛い顔に俺はいつも癒されるんだ」


エリスラーナは顔を赤く染め布団で隠す。


「むう、そんなこと言う。恥ずかしい……でも、うれしい」


可愛い態度に俺の心が軽くなっていく。


「……ノアーナ様……真核……平気?」


ダラスリニアがおそるおそる聞いてくる。

俺は頭を撫でて答える。


「ありがとうなダニー。お前はいつも俺に元気をくれるな」

「…いつでも……頼って……」

「ああ、可愛いダニー。俺の宝物だ」

「……もう……ドキドキしちゃう。……むう…」


ああ、本当に可愛い。

癒される。


そんな他愛もない話を、3人でしていたんだ。

思えばこういうことしたことなかったな。


俺はまだ知らないことがたくさんあるこの世界が好きだ。


二人が静かになった。

魔刻計は2時を指していた。


俺は心の中で二人におやすみと言って目を閉じた。


暫くして。

ダラスリニアが俺にささやいた。


「……ノアーナ様……ありがとう。……とおさま、喜んでくれた」

「ああ、良かったな。お父さん好きなんだろ」

「……うん。……ずっと仲直り……したかった」


そして目を閉じる。


反対ではエリスラーナがすやすやと可愛い寝息を立てている。


可愛い二人に包まれて、俺は最高に安心して寝ることができたんだ。

俺の真核のダメージが、ほぼほぼ回復していた。


俺は本当に恵まれていると実感したんだ。


※※※※※


優しい光が窓から差し込んできた。

もう朝が来たようだ。


昨日遅くまでピロートークをしていた二人は、まだかわいい顔ですやすやと寝ていた。


改めて二人を見る。


エリスラーナは小さい顔だ。

とても整っている。


流石に8歳児に欲情はしないが俺は大人のエリスラーナの美しい顔を覚えている。

こんなに可愛くて神の中では最強の女の子だ。


この子が必死に鍛えていることは俺が一番わかっている。

本当に尊敬できる女の子だ。

ふいにムニャムニャと口を動かす。


思わず笑顔になってしまう。

本当に可愛い。


そしてゆっくり反対を向いてダラスリニアを見た。


美しく可愛い。

大人になりかけの儚い美しさは、ダラスリニアの控えめな性格と合っていて、とても可愛い。


それでいて誰よりも強い信念を持っている。

本当に頭が下がる思いだ。


この子のあの時の努力は、きっと誰にも真似できないだろう。


チョットあざとい時もあるが、それは同時にこの子の覚悟を示している。

俺は本当に幸せ者だ。


俺の選んだ6柱の神々。

今思えば恨まれても仕方のない事なのだろう。


もとろん説明もしたし納得もしてもらった。

だけど、俺は彼らの普通の幸せを奪ったのだ。


概念で縛り、寿命をなくした。

感情は残したが様々な制限を設けてある。


でも6柱は。

俺を信じ、そして精一杯俺を助けてくれる。


「俺も頑張らなくてはな。こいつらに笑われないように」


そう呟き、俺はグースワースへと飛んだのだった。


可愛く寝ている二人の寝顔と。

俺を元気づけようと頑張ってくれた夜。


俺はたくさんの心の栄養をもらっていた。


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