「いってらっしゃいませ、ルカ様、リィサ様」
45度。
ふたりの女が振り向いて、「いってきまぁす」と愛想良く両手を振る。
僕はあーあと思う。深く頭を下げているから、手を振られても気づけない。
正位置に戻った彼女が目にするのは、頭を下げる前と同じ、女たちの長い後ろ髪だ。
その髪を引っ張って止めてやれよと僕は思ってしまう。
ねえ、きみは本当に、彼女たちがそのクエストを達成すると思って送り出してるか?
だったらどうして笑わないんだ。いってらっしゃいを言うときでさえ。