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第3章:不屈の意志

かつて誰かが言った。


「本当の強さは、力じゃない。心の奥に宿る“決して折れない意志”こそが、人を前へと進ませるのだ」と——。




炎に焼かれ、恐怖に打ちのめされ、それでも尚、立ち上がろうとする少年の姿があった。


自らの無力さに苦しみ、過去の痛みと向き合いながらも、彼は歩みを止めない。




“戦う理由”を胸に秘め、


“信じる者”の手を取り、


そして、運命に抗う最初の一歩を踏み出す。




ここに語られるのは、一人の少年が“自分”という存在を試される物語。


たとえ傷ついても、折れない心があれば、人はどこまでも強くなれる。


—————————————————————————————————————————————————————————


(※フラッシュバック)




乾いた風が吹きすさぶ戦場跡の街。建物は崩れ、空はくすんだ色で染まっていた。




シュン「ったく、またこんな任務かよ…。オレに才能があるって言うくせに、任されるのはこんな地味な仕事ばっかりだ。」




(シュンのポケットで通信機が鳴る)




???「オレのことを言ってるのか?」




シュン(心の声)「マジかよ、この人、数キロ先でも聞こえるのかよ…」




シュン「いえ、違いますよツクヨミさん。今のはただの昔話を思い出してただけです。」




ツクヨミ「もう少しマシな嘘を考えろ。」




シュン「はいはい…」




ツクヨミ「忘れるな。この任務は重要だ。今回のお前の標的は“プロの暗殺者”だ。」




シュン「でも…10歳の子どもでしょ?そんなに警戒しなくても——」




ツクヨミ「甘く見るな。そのガキ、すでに五百人以上を殺ってる。」




シュン「…そのほとんどが、搾取ばかりしてた金持ち連中でしょ? まぁ、同情の余地はあるけど。」




ツクヨミ「俺たちは正義を語る立場じゃない。依頼をこなす、それだけだ。」




シュン「わかってますよ。でも、最近の十二家族のやり方は…吐き気がするほど醜いですよ。」




ツクヨミ「忘れるな、俺たちも似たようなもんだ。」




シュン「それは…そうかもしれませんね。」




ツクヨミ「じゃあな、仕事に集中しろ。」




(通信が切れる)




シュン「ったく、気配を消してるつもりか?まる見えなんだよ。」




(シュンの後方、影の中から少年が現れる)




テンザク「へぇ…バレてたか。」




シュン「新米を騙すには十分だが、オレを相手にするには、十年早い。」




(瞬間移動のように、シュンがテンザクの背後に回り込み、ナイフを喉元に突きつける)




テンザク「なっ——!」




シュン「これが“気配を消す”ってことだ。お前のは、ただの隠れん坊だ。」




(ブシュッ)




(シュンの背中からナイフが突き出る)




シュン(心の声)「がっ……!? まさか、最初に感じた気配は…フェイクだったのか!?」




テンザク「罠にハマったな、オレの一番安っぽいトリックに。」




シュン(心の声)「——まだある?どこに…!?」




テンザク「安心しろ、すぐに楽にしてやるよ。」




シュン(心の声)「……考えろ。こいつのゼンカエネルギーは特殊タイプか?いや、それだけじゃ——」




テンザク「この町をめちゃくちゃにした連中に、オレは一生、恨みを持ってるんだ。」




(中略)




シュン「……そんなお前に一つ教えてやる。“天才に時間を与えるな”ってな。」




テンザク「なっ——!?」




(ズシャッ)




(テンザクの身体に鎖が巻きつく)




テンザク「ど、どうやって…!」




シュン「だから言ったろ?オレくらいのレベルになると、“発動”なんて必要ない。」




(テンザク、唖然)




シュン「お前の使ってたのは“召喚エネルギー”だ。ゼンカじゃない。でもな…その才能、無駄にするのはもったいない。」




テンザク「……は?何言ってんだ?さっさと殺せよ…」




シュン「オレの部下になるんだよ。まぁ、バレたらオレも終わるけどな。」




テンザク「……ふざけんなよ」




(周囲が黒い殺気で満たされる)




シュン「オレは、“死”よりも恐ろしい存在なんだよ。」




(※フラッシュバック続き)




テンザク(心の声)「あのとき感じた……あれは、確かに“死”だった。いや、それ以上の——」




(現代に戻る)




テンザク(心の声)「……そして今、また同じ感覚が背筋を走る。」




(テンザクの視線の先、漆黒のオーラに包まれたエデンがゆっくりと立ち上がる)




シュン「ふふっ……やっぱり実物は最高だな。」




テンザク(心の声)「これが……お前の“計画”か、シュン……!」




(シュンが一歩前に出る。風が揺れる)




(ゴッ)




(エデンが突然後頭部を殴られ、その場に崩れ落ちる)




テンザク「えっ……!?」




(漆黒のオーラが霧のように消えていく。周囲の獣たちもその場を離れる)




シュン「今の見たか?あいつの中には……興味深い“何か”が眠ってる。」




(テンザクの身体を縛っていた鎖が音を立ててほどける)




テンザク(息を整えながら)「あの力……無敵にもなりえるが、制御できなければ……世界に災いをもたらす。」




シュン「その通り。だが、それでも——見たいと思わないか?あいつが“何”になるのかを。」




テンザク(小声で)「……本当に、お前は怖い男だよ。」




シュン「言ったろ?オレは“死より怖い存在”だってな。」




(エデンの身体が自然に回復し始める。傷がみるみる消えていく)




シュン「おいおい……回復までできるのかよ。こりゃ面白くなってきたな。」




シュン「テンザク。頼みがある。」




テンザク「……なんだ?」




(場面転換:数時間後)




(エデンが静かに目を開ける)




エデン「……ここは……?」




シュン「お目覚めか。ちょっと血を流しすぎて、失神してたんだよ。」




エデン「……試験はどうなった?」




シュン「試験?そんなもん初めから無かったさ。ただの“観察”だよ。」




エデン「てめぇ……」




(テンザクが静かに近づき、手に何かを持っている)




テンザク「悪いが、時間も資源も限られてる。とりあえず、これを着てくれ。」




(訓練用スーツを手渡す)




テンザク「見た目はともかく、これが今ある中で最善だ。」




エデン「ありがとう……。ところで、あんたは?」




テンザク「テンザクだ。シュンの部下をやってる。」




エデン「そうか……よろしく。」




シュン(心の声)「まだ少しフラついてるな。体が勝手に回復してるとはいえ、完全じゃない。」




シュン「無理すんな。全快になってから話すことが色々ある。」




エデン「……いや、待てない。強くならないと……!」




シュン「フッ……その意気だ。」




(シュンが岩の上に立ち、夕陽を背に語る)




シュン「お前の力、今の時点で1%も使えてない。潜在能力は凄まじいが、制御を誤れば、お前自身が死ぬことになる。」




シュン「だからまずは肉体を鍛える。6ヶ月間、地獄を見せてやる。」




エデン「……6ヶ月?」




シュン「ああ。それが“GODS”に入学する最低条件だ。」




エデン「やる。必ずやり遂げる。」




シュン「それでこそだ。」




(シュンが黒い布に包まれた剣を差し出す)




シュン「これを使え。お前のじいさんの剣は、今のお前には扱えない。」




エデン「……ありがとう。必ず強くなる。あいつらをぶっ倒す、そのために。」




(翌朝。どこまでも赤く染まる空に、太陽が昇り始める。岩の上に、一人の少年が立っていた)




エデン(心の声)


「……寒い。体はまだ痛む。けど、それでも——」




(ギュッ、と拳を握りしめる)




エデン「もう逃げない。強くなるんだ。絶対に……!」




(遠くから、呑気で響く声が届く)




シュン「おーい、そこの新人〜!今日から地獄の始まりだぞ〜♪」




テンザク「……せめて朝くらいは静かに迎えさせてやれよ……」




シュン「甘やかしたらすぐ死ぬタイプだ。わかってんだよ、こいつは“戦う意思”だけは一人前だからな。」




(エデンが振り向き、ふっと笑う)




エデン「……かかってこいよ、“死より怖い男”」




(ゴゴゴ…!と空気が震えるような気配。やがて、エデンの新たな日々が始まる)

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