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真訳・アレンシアの魔女
真訳・アレンシアの魔女
かずさともひろ
異世界恋愛ロマファン
2025年05月20日
公開日
13.5万字
連載中
○「真訳・アレンシアの魔女 上巻 マールの旅」 一人の少女が目を覚ます。記憶を失い、数々の呪いを背負った少女はマールと名乗る。アレンシアで唯一、魔法を使う事ができる存在。これは後に神となる“紅の魔女”の人生を綴った叙事詩である。 ○「真訳・アレンシアの魔女 下巻 石碑巡りたち」 紅の魔女マールの謎がすべて明らかに。マールが残した“石碑”の謎を解き明かすべく、カナクとユーリエは旅に出る。ファンタジックラブストーリー・オリジン! 

プロローグ

おわりに

 私の名はセレニウス・ノートリアス。

 この本の著者である。


 紅の魔女と呼ばれたマールは、これまで長く記してきた通り、偉大な人物だ。

 こうしてマールの足跡を残せたことを、私は誇りに思う。


 諸君は、マールの偉大さを知らねばならない。


 たった一人でいくつもの呪いを抱え、それでもくじけず、雨の中を歩き、雪をかきわけ、山道を登り、川を渡った。


 私は幸運にも、そんなマールと唯一、旅をともにできたものだ。

 故にマールの偉業を伝えるのは、私の使命である。


 マールはいずれ、アレンシアの神となるだろう。

 諸君らが今、当たり前のように使っている“魔法”という術は全て、たった一人の、人間の女性から広まったのだ。


 しかもマールは陽種族ロウレイスである人間、フォレストエルフ、ドワーフ、ハーフエルフ。闇種族エヴイレイスであるダークエルフ、ログナカン、トロル、フリーレンに至るまで、わけ隔てなく伝えていった。


 これほど尊いおこないを一体、誰が真似まねできるのか。

 呪われていたとはいえ、マールをさげすむことができるのか。


 そんなマールを神と呼ばずして、誰をアレンシアの神と呼ぶのか。


 これを読み終わった諸君も、私と同じおもいを抱いているだろう。

 だから私はこうして、本人からいた話や、実際に私の目の前で起きた旅の体験を一冊の本とした。


 マールは魔女などではない。

 マールは災厄の娘などではない。


 今、このアレンシアに住む我々は、マールの心安らかなる眠りを祈るべきなのだ。


 私は……もうすぐマールのもとへと旅立つ。

 その時に「アレンシアはあなたの力で豊かになりましたよ」と伝えたい。


 私が諸君とマールの架け橋になろう。

 故に、ともに祈って欲しい。

 そしてその御力おちからを授かって欲しい。


 私が望みは、ただそれだけである。


 おわりに。

 この書を作るにあたり、全面的に協力してくれた弟、アレックスに感謝を。


 そしてアレンシアと、あなたに。

 マールのご加護がありますように。


双月暦五三六年 セレニウス・ノートリアス


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