教室のドアを開けた瞬間、私――塁(中身・美里)のオタクセンサーがビンビンに反応した。
「…ここが、あのBLゲームの舞台……」
天井高め、謎におしゃれな間接照明、異様にイケメン率が高い男子校。
ああ…これは確かにファンタジーだ。男子校って概念、ほんと尊い。
隣にいるのは我が推し、建人先輩。
気だるげに頬杖ついてるだけで絵になるの、ズルくない?
しかし、美里のオタク魂はこの日、ふとした発言で戦慄することになる。
「塁って、さ…他に好きなヤツとか、いる?」
「ん?」
その目、なんか本気じゃない!?
あの冷静クール系の建人先輩が、めっちゃ探るような目してくるじゃん!?
なにこれ、もしや塁ルート本当に存在するの?製品版に入ってないだけで、隠しルートで私、推しの恋愛対象になってる? そんなウマすぎ展開、夢女子耐えられないよ!?
いや、でも私は!「主役カプ(弟×建人先輩)」を愛でる民!
ここで私がバッドエンド要因になるなんて……ありえん!!
「えっと…好きっていうか…その…弟が、すごい大事なんだ」
※本音:推しが大事すぎて呼吸困難
すると建人先輩、なぜか微妙にしょんぼりしてる!?
えっ待ってごめん!推し泣かせちゃった!?ちょ、世界線バグってない!?
ここから始まるのは――
推しを応援したいのに、なぜか攻略されそうになるという奇怪な転生生活。
美里、どうする??