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第3話 「弟×推しとか最高では?」

昼休み。学園の中庭。

風が吹き抜け、葉の揺れる音がやけにドラマチックに聞こえる――


「やっぱ、建人先輩ってすげぇなー!かっけぇわ!」


そう言ってキラッキラの笑顔を向けるのは、我が弟、霧島 晴翔きりしま はると

原作の主人公であり、天使みたいな後輩であり、そして何より…推しの恋のお相手!!


「お兄ちゃんも先輩のこと、すげーって思うだろ?」


「……うん、めっちゃ思ってるよ(別の意味でな)」


いやいやいや、私の弟、なんでそんな攻め顔で先輩見る!?

ちょっと顔近いよ!? なんか空気が…妙に甘くない!?

これ、原作のイベントCGで見たやつじゃん!?背景ぼかして後光が差すやつじゃん!?


※なお、隣の塁(中身・美里)は必死に「オタク死す」と呟いていた。


そして、その時だった。


「……お前、晴翔のこと、好きなの?」


建人先輩が、まさかの質問。


「えっ……!?」


好きだよ!!

推しと推しの相手が一緒にいる世界、好きに決まってんじゃん!?

むしろ私が今、尊すぎて破裂しそうだよ!!


でも、建人先輩の表情はちょっとだけ曇っていて。


(あれ…これって、まさか…嫉妬してる……?)


この時、塁(中身・美里)は悟ってしまった。


原作、完全にズレてる。


ここに来てまさかの、

「主人公(弟)→建人先輩」じゃなくて、「建人先輩→塁」ルート突入の気配。


いやいや待って?私、脇役ポジで幸せだったのに、今すごい重い三角関係のど真ん中にいるんだけど!?

夢女子と腐女子の戦い、開戦のお知らせです。


でも、ここで揺らいだら“オタクとして”負けだと思うの。

だから私は、こう答えた。


「晴翔のことは、私が一番よく知ってるよ」


にっこり笑って、そう言った。

(※乙女ゲームでルート阻止するライバル女ポジの台詞になってない?これ大丈夫?)


だけど建人先輩は、そんな私の言葉に、ゆっくりと頷いて……なぜか安心したような笑みを浮かべた。


「そっか。……じゃあ、塁のことは、俺が知っていきたい」


え、待って、ちょっと待って。

ルート変わった音、今聞こえたよね!?

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