「片付けも終わったし、そろそろ行くぞ」
ご飯を食べ終え、テントも片づけたのちに医者を探す旅に出る準備をする。
最初アランにおんぶされるには嫌がったベルであったが、理由を説明すると、しぶしぶといった態度で大人しくおぶられた。
ルフがいつもアランが持っているテント類の荷物を持つが、重たくて仕方がない。
これを持って今まで狩りなど一人でしていたのかと尊敬をしながらアランの後についていく。
「トビーがいるな。ルフ狩れるな?」
「うん! 任せてよ」
歩いている最中の先にトビーを見つけた。結構大柄なので脂ものっていることだろう。
アランはゆっくりとした動きで近づいていき、気付かれる前に短剣で致命傷を与える。
鳴き声をあげる暇なく息を途絶えたトビーの耳を掴み、嬉しそうにルフはアランとベルの所へと帰っていく。
「見てよベルにアラン! モイラを使わずに仕留められたよ」
「やるじゃない」
「あぁ、最初に比べたらかなり上達をした。すごいことだ」
二人からの賞賛を受けて嬉しそうに目を細めるルフを見て、ベルは弱弱しくも、アランは小さく笑った。
やはり、誰一人欠けてはならないと思いながらルフは早く医者を探したい気持ちが強まった。
「今日はここまでにしよう。流石に疲れただろう」
「えっ、でも……」
「オマエまで倒れたらオレは庇いきれない。慌てる気持ちも分かるが、第一はお互い倒れないことだ」
「……うん、分かったよ」
何処までも続く平野には人の気配はなかった。もう何時間歩いたかすら分からない。
ルフの顔に疲労が見えてきたのを確認したアランは足を止めてここまでだと口にする。早く医者を見つけたいルフが反論しようとしたが、首を振って否定をした。
言い分に一理あると納得したのか、コクリと頷いたルフをアランは優しく頭を撫でた。