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第15話

 3人揃って登校です。雨上がりですので、朝から日射しが強く暑い日になりそうでした。


エイミとクミコは並んで歩き、私は2人の後ろを歩いていましたが、2人の話は男性の話ばかりでした。


 大人っぽく、成績も良く、ある意味では周りに何があろうと、冷めている感じのクミコですが、


付き合っている彼氏の話になるとやけに饒舌で、エイミは、何かと質問をしているようでした。


「誰もがするのよ。いつかは結婚するとかしないでなくて、」


「クミコは、その冒険家の彼としちゃったの?」


「ええ、」


「そうなの、、大丈夫?」


「妊娠とか? 


大丈夫よ、彼は大人ですもの、、」


私は、2人の話を聞くともなく耳にして、クミコは大人なのだと知りました。


そして、クラスの中の女子には経験済みの子が何人かいることも知りました。


私が子供っぽいと言われる訳がわかりました。


私は、お付き合いしたこともなければ、キスなんてどうやってするのかさえ知らないのですから、


地下室のことは全く話題にしないで、


男性とのお付き合いの話ばかりの2人にも少々嫌気がさしてきていたのですが。



 学校に近づくと、異様な光景でした。


塀に沿って、工事車両が何台も並んでいました。


クミコはいち早くみつけて、


「ねぇ、もしかして、おばあさま、話したのよ、、


工事今日からよ、、


地下を壊すつもりね。」




走りました、そして正面玄関あたりに生徒が群がっていて、掲示板を見ていました。



校長は体調不良で緊急入院したことや、


古い講堂や図書館に危険な所がみつかり、


緊急に工事になったこと。


各教室で成績表を受け取り、私物をロッカーから持ち帰るように。


終業式は中止になるなど、生徒たちは騒いでいました。




私は、スマホにジロウさんからのメールが届き、


祖母が昨夜から、理事長や校長、教頭たちと話して、


すぐ地下部分の破壊工事になったことを知りました。


祖母は代々の卒業生の会の代表も長らく続けているので、


力もあるのでしょうが、


周りの生徒たちには、決して地下室で目にしたことは話してはならない、


3人の秘密にするようにとの内容でした。


私はクミコとエイミに、ジロウさんのメールを見せました。


2人は勿論よと同時に頷き、


3人の秘密、友情の証、ひと夏の思い出にしましょうと約束しました。




校長は辞任しました。


そして、夏休みが終わると、敷地の西側にむかった位置にあった、講堂や図書館は消えて綺麗な芝生の広い庭になっていました。





       終わり

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