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第3話

 要子は不思議でならなかった。


何故自分なのだろう、


河川敷を自転車に乗って走っている姿を見て、自分の奥さんは要子にしようと決めたという話だけれど。


自転車に乗ってる人は沢山いる。       


そんなおかしな事があるのだろうか。


何故だろう。


姉達のような美人でもなく。


スタイル抜群でもなく。   


 王様はホームページで見る限り、とてもハンサム、甘いマスクというのか。


要子のような、子供じみた者を、好きになるはずなど絶対ないと要子は思った。  


 何か目的があるのかと考えてみても、


要子自身、自分に特別な価値など見当たらない。


要子はこの王国の経済が知りたかった。


もしかして、自分が心酔する先生の法則を実践しているのではないかと予想した。



 人口の他に、世帯数も記載されていて、なんと日本に国籍がある世帯も3世帯あり。


王宮の写真やビーチ、椰子の木に囲まれた白い壁の家々、おとぎ話の世界だった。


建物は全て白に統一されていた。 


 当然ではあるけれど、デパートなどはなく、コンビニや一般的な店もない。


各世帯で必要な物は島外から持ち込むらしい。      


  結局、王国の民になるためには、何がしかの供託金を払うのだろうか、、


それ、それは、あの先生の理論、数学に基づいた。  


 この王様は、きっとあの教授の指導を受けたに違いと確信し、


要子は明後日やってくる王様に会ってみようと思った。


 お嫁に欲しいという言葉は要子の頭から消えていた。


 翌々日の夜7時きっちりに、ピンポーンと王様と先日訪れた交渉人の2人がやってきて。


 応接間などなく、先日と同じく居間のソファに全員が座った。


長女の千代子は「ちぃねえちゃん」と家族の中では呼ばれていて、


美人でおしゃれさん、25才、大手デパートの外商部に勤めていて、男友達も多く、いわゆる男あしらいに長けていて。  


 しかし、しかし、ちょっとやそっとであがったりドギマギしたりしないはずの自信満々の千代子が、ぼおーぅとしてしまい。    


 王様は写真よりもずっとずっと素敵だったのだ。       


要子は、俳優さんに似てる人いたな、、、いや、、あの、イギリスの有名なサッカー選手だった人に、、似てるかもな、、、


とぼんやり眺めていたに過ぎない。



  ……………… つづく ………………


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