その日は、おかしな方向へ話が進み、要子が王様に聞きたかったことは聞けずに終わった。
王国の経済はどのように成立しているのかという点について。
ただ、王様は若々しく、31才というのは嘘ではないことと、
要子が心酔している先生の唯一の著書「・0001」を知っていて、
彼も読了したということは聞き出せた。
姉の一人劇場のようになり。
要子の両親はすっかりがっかりしてしまったようだったが。
千代子は王国の民であり、国籍はイタリアの男性とお付き合いを始めることになった。
革製品の会社を持っていて、20代はプロのサッカー選手だったとか。
現在は38才で。
要子は顔の周りのヒゲ、それだけで、あララ、私はイヤと感じてしまうのだけれど。
とても、とても濃いというか、しつこい感じがして。
電話が繋がり、千代子は流暢な英語で話し。
そして、週末には彼が日本に来てくれるそうで、第1回目のデートをするらしい。
あくまでも結婚を前提としているので、互いに大人ですからとは、、まさか、初回から、、えーと、キスとかするのではないかしらと。
そんなことを姉に聞くと、当たり前よと、デレーとウットリしていて。
結局、大人の世界のこと、
大人の世界は要子にはまだまだ解らない事がいっぱいあるのだと納得させられ。
しかし、王様は次の日も次の日も、そのまた次の日もやってきて、要子はすっかり打ち解け、王様とは友達のように仲良くなった。
姉の千代子はイタリア男性との初回のデートでは夜になっても帰宅せず、
翌日の昼過ぎに、デレーとした表情でやっと帰宅した。
もう25才で大人なのでなのか、千代子に対して父親も母親も叱ることもなく。
次女の紀代子は、こっそり要子の部屋に来て、ひそひそとささやいて。
「ちぃねえちゃんて、あのタイプが好みだったのね、
私は苦手だな、ねぇ、要子は好き?
あのタイプ?
王様じゃなくて、ちぃねえちゃんの彼の方よ、リッカルドだったよね、」
「私も嫌い! なんかしつこい感じする!」
「そう、そう、それよ!
ちぃねえちゃんは経験豊富でしょ、
きっと、強くて上手な人を求めていたのよ」
(つづく)