その夜は宴会のような雰囲気になりました。
リッカルドと千代子は結婚することになり、近くに住んでいる父親の両親も呼んで来てもらい、賑やかに飲めや歌えや状態になりました。
父親は少し寂しそうに見えました。
そして、なぜか、要子までもが王様のお嫁さんになることになってしまったのです。
要子は承諾してしまった。
雰囲気にのまれた訳でもなく。
王様が勉強は続けてほしいと言ってくれて。
なかなか要子から返事がもらえず多少なりとも元気がなくなっていた王様は
都内に住む王様の国民に登録している友人に会ってきたらしく。
「要子さん、 僕は日本が好きです。
祖母から日本語を教えてもらい、大学も日本にしました。
友人によく言われたのは、僕の日本語は少し古いようですね。
お嫁さんにほしいと言いましたが、
要子さんはまだ16才で予備校に通ってらっしゃいます。
これから受験ですね。
心は受験の事でいっぱいでしょう、申し訳なかったです。
僕は、でも諦められません。
要子さんの純粋なところ、
コンマ、ゼロゼロゼロワンに対する思い、
要子さんの頭脳をもってして、
僕の王国は完成をみるはずです。
美しい女性は沢山います。
でも僕の人生の相棒になれる女性は要子さんだけです。
受験をして、大学は、進んで下さい。
長い休みの時に王国に来てくれたらよろしい。
王国は仮想国です。
大学を卒業したらイギリスで正式に式を。
それまで、他に行ってしまわれては困ります。
それで、一応ですね、王国で式を挙げてほしいのです。
王妃になってほしいのです。
式が終わり次第日本に戻って、
今まで通りの生活をされて下さい。
いかがですか?」
要子は単純なもので、それならば、受けますと返事をしてしまいました。
千代子とリッカルドの式はイタリアで挙げることになり、
取り敢えず、リッカルドの両親にも会わなければと、千代子と母親は翌日、リッカルドのジェット機に乗り、イタリアへ向かいました。
王様も要子からの快諾を得て、安心した様子で王国へ向かいました。
お正月に王国で式を挙げる事も決まりました。
要子の周囲は騒々しくなっていましたが、要子自身は、まるで影響なく、自転車に乗って今まで通り、予備校通いを続けています。
姉の紀代子と父親は、千代子に関しては心配もしませんでしたが、
要子がいくら仮想国とはいえ王妃とはと心配していました。
(つづく)