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第10話

「王様、私、わたし、本当は15才です。」   


「知っています。


要子さん、気にされてましたか? 


お宅に交渉人が伺ったとき、すでに知っておりました。 


また、要子さんのご両親からも、交渉人にすぐ話されたそうですよ。


年端もいかないので断りますということで。


ご両親は、とても立派な方々です。


こちらから提示した結納金も、はっきり断られました。 


いくら積まれても要子を手放したくないとのお話でした。 


今は15才ですが、結婚式の日は、要子さんのbirthdayですね。


16才ですね。


要子さん、覚えていませんか? 


僕と一度、アメリカで会っています。


えーと、僕が大学出た年ですから23、


それで、要子さんは8才でした。


見学に来られて。  


それで、河川敷で自転車に乗っている要子さんを見て、あのときの少女だと、すぐ気付いたのですよ。 」           


「あの! あの! 


 叔父さんの研究所? 


もしかして、案内をしてくれた、、あっ!  」  


 「覚えてくれてましたか?  


要子さんは日本の義務教育を少し抜いているのでしたね、。


まだ日本では飛び級制度が確立していない、、


難関校の方は年齢が不足していても合格としたのに、


高橋教授のいる大学は不合格にされたのですね。 



でも、大丈夫、高橋教授は要子さんの成績がトップだったのに不合格とした大学側を説得してくれたようですよ、、


こんどは大丈夫でしょう。  


年齢の事、日本語の微妙な表現を上手に出来ませんが、


僕はゆっくり待ちます。



王国で式を挙げても、あくまでも仮想国ですからね。  


えーと、つまりですね、要子さんが良いと思うまで、僕は手を出しません。   


気付かれているはずです。


僕は小さな要子さんをアメリカで見て、


手をつないで研究所を歩き、小さな天使のような要子さんが僕よりずっと上の知識を持っていることに驚き、


えーと、どのように表現しましょうか、憧れ、大好きになって、、


自分のお嫁さんは日本の女性と決めていました、


それならば、要子さんをお嫁さんにしようと決めたのです。」         


要子は胸をなで下ろした。


それにしても母親は意地が悪い、


大枚の結納金が出るから結婚しろと言った。


要子の気持ちを試したのか?



       (つづく)



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