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第13話

 紀代子は王様の交渉人にイタリアで気持ちを伝えられ、自分と同じ気持ちだったことに嬉しくなり。 


初対面で双方、ビーンときたようで。


頑なだった紀代子は一瞬で従順な女に変身してしまったようです。  


 姉の千代子とリッカルドの結婚式のその夜、


リッカルドの古城のような実家で、


式を挙げたリッカルドと千代子は当然だけれど、


3才下の妹の紀代子もドイツ人の交渉人と同じベッドで寝ていました。  


 部屋で待っていた要子は、


待ちくたびれて寝てしまい、朝目覚めて、隣りのベッドは使った形跡がないことに、もしかして、きいねえちゃんは、交渉人と一緒に寝たのかなと思いはしたけれど、


要子は実際のところ、男と女が一つベッドに寝る本当の意味は具体的には知らないのでして。  


 そこが要子の面白さ、要子の魅力なのかもしれなく。    


  紀代子は交渉人の行為に夢中になってしまっていました。


項のキラキラ光る金色の産毛さえまでも、美しく思え。


紀代子は友人たちとのおしゃべりで、外人と経験してしまうと、上手だから、外人でなければダメになると聞いていたことを思い出し、


あれって本当かもと思い、彼の腕の中でほくそ笑んでいました。  


 紀代子は母親や姉の千代子に云わせると自信過剰、頑固者ということで。


22才のこの時まで、男性経験無し、美人で聡明で、抜群のスタイルで、周囲の男達が騒がないわけは無く、


しかし、振り向きもせずに生きてきた紀代子だったのです。


 姉が奔放故、あのようにはなりたくないというのが本音。


望まれれば、自分が特に好きでもないのに交際してしまう姉のようにはなりたくないと頑なに考えていました。      


 しかし、どのようなタイプが自分は好きなのかも解らなかったのです。


友人たちには、たぶん、恋をしてない、紀代子の心を捉える人に出会っていないのだろうと言われて。


それは正しかったようです。


妹の要子の件で家に訪れたドイツ人の交渉人に一目で夢中になってしまったのですが。     


 紀代子は都内のホテルで、初デートで交渉人に抱かれた時、実際涙を流して、痛みもし、心地よさに震えもしました。


 交渉人は足の付け根に顔を埋め、すぐに紀代子がヴァージンであることに気付いたようで。


それはそれは長い時間をかけて、ゆっくりゆっくりほどいてくれ。


紀代子は一夜で、上り詰める歓喜も、中でいくという感覚も知ってしまったようです。 





       (つづく) 

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