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第15話

 飛行機は島の上空をぐるっとゆっくり旋回していた。


先にリッカルドの飛行機を降ろそうとしているようで。


機体に真っ赤な丸、それは日の丸にも見えるが、機体はピンク色。  


 王様は今日は何機も王国に降りるよ、、あのピンク色のは日本のもの、


3世帯が王国に国民登録している、


明日の僕達の結婚式の為に続々と集まってくるよと。  


 要子も紀代子もピンク色の中型の飛行機には日本からどんな人が乗ってきたのかと興味津々で。       


 虫が飛んでいるように、目を凝らすと、


何機もの飛行機が旋回していて。


どの飛行機も、一度見ると忘れられないカラフルさだった。   


 要子は上空から島を見下ろし、思っていたよりずっと大きな島だと感じた。


飛行場もヨットハーバーもある、


螺旋状に道路も整備されていて、


お城も点在する家々も全てが真っ白で。


 海の青、木々の緑、砂浜のベージュと、色合いだけ見ても素敵で。


そして、飛行機が島の中央の小高い丘に建つ城の真上に来ると、王様と要子の隣に座っている側室さんが、下を見なさいと。   


 要子は歓喜した。


家々の配置、城の尖り屋根、、これは最初から計算して建てたものだと、すぐ解った。


まるで、ケーキ、デコレーションケーキなのだ。  


 王様が現在は275世帯が国民登録していて、


家は300軒建ててあり、世帯数はそれ以上増やすつもりは無いと言った真意が理解できた。


 リゾート地として、ゆったりの雰囲気を維持したいのと、上空からの景観もあるのだと。


現在でも人口は千人を超えている、


子供が生まれると、まだまだ増えるだろう、


王様としては線引きしたいのだろうなあと。


  次々に小型、中型の飛行機が着陸し、要子が乗った飛行機が最後に着陸すると、、


白い大きなオープンカーがすっと寄ってきて止まった。


 その車には小さな女の子が乗ってきて、飛び降りると、ペコンと頭を下げ、      


「要子さんですか? 私、航です。 


要子さんと同じ高校に春から行きます。 よろしく。」  


 王様はニコッと笑って、要子に航という名の女の子を紹介してくれたが、


要子と同じく、中学校を飛び越えて高校に進むようで。


要子は自分の仲間が王国にいたことに、すっかり嬉しくなってしまった。  


 王様は、2人の手をとり重ね合わせ、仲良くしなさい、


2人にはいずれ、この王国に造る研究所で頑張ってもらうつもりだと言った。





      (つづく)

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