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第19話

「この王国ですが、王様に国民登録している人達の一覧を見せて頂きましたが、


私のような人間でも名前だけは知っている有名人ばかりですね、


登録条件が厳しいのですか?」             


「有名人でなくても良いのですが、


共益金がけっこうな金額ですから。


ある程度資金力が必要になりますね。」


「この王妃の間には誰でも自由に入ってこれるのですか? 


鍵はかけられるのですか?」 


「入ることが出来るのは、王様と王妃様、と、私です。 


指紋登録してあります。 


鍵は自動でかかります。」 

                  「王様が生まれた時からご存知でしたね、ミスターマッド、


王様はどのような子供でしたか?」  


「それはそれは可愛らしい、


誰からも愛される元気な男の子でございました。 


明るくて、やんちゃで、いたずら好きで。


それが過ぎて、窓ガラスを割ったり、旦那様が大切になさっている壺を割ったり、よく叱られていました。


そんな時、王様の肩を持って王様の弁護をなさるのは、決まって旦那様のお母様でした。


その方が、要子様によく似てらっしゃる。


東洋の神秘的な黒い大きな眼が、特に似てらっしゃいます。」      


「ミスターマッド、私は王様にとって、良いお嫁さんになれると思いますか? 


正直に答えて下さい。 


私は、側室さんたちに比べると子供過ぎて、自信がないのです。」            


「そんなことを心配されてらっしゃったのですか!!? 


要子様こそ、王様に最も相応しい王妃様、奥様、お嫁さんですよ。


私は自信を持って断言できます。


王様のご両親もきっと私と同じように思われるはずでございます。」                      どんな質問にも即座に答えてくれるミスターマッドに、


要子は信頼感を持てた。


また、王様が言っていたように日本語は王様より、


丁寧で文法的にも正しい使い方が出来るようで、


若い帰国子女達に混じって1年間しっかりと日本語の勉強をしただけのことはあると感心した。 


 王様が大学に通い、ミスターマッドは執事としての仕事をしながら、


日本語の勉強、日本の歴史、日本美術について勉強したらしく、


とてもとても博識だった。


要子はミスターマッドが大好きになってしまった。






      (つづく)

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