要子は執事のミスターマッドと話すことで、ふらふらしていた気持ちも決まり、翌日は晴れ晴れとした表情で結婚式に臨みました。
16才になったばかり、今朝、要子は16才になったのです。
要子は生まれて初めてお化粧というものをしてもらい、髪もただ肩まで下げていたものを、丁寧にカットしてもらい、
カールで巻き、鏡に映る姿に、自分ではないような不思議な感覚で。
それは、なかなか美しい姿だったのですから。
腰をぎゅーと締めて、胸をぐーんと上げる下着を付けられ、ウェディングドレスを着せられると、自分の姿にうっとりしてしまいました。
頭に豪華なティアラを載せられ、美容師さん達は口々に、こんなティアラ見たこと無い、
すごい高いはず、、
これ、全部ダイヤよ、、、
要子は昨夜、王様のお母様に会い、このティアラを渡されたのですが、
なんでも王様の一族に伝わるティアラのようです。
頭から落ちないようにセットしてほしいと、拙い英語で頼むと、2人の美容師さんは、
「お任せ下さいませ、王妃様」と。
要子はたじたじとしてしまいました。
自分よりずっと年上の女性に王妃様と崇められるのが、面映ゆかったのです。
チャイムの音。
ドアをノックすると部屋が広いからかチャイムが鳴る。
手元の端末を見ると、千代子と紀代子と母親が立っていました。
端末を操作して、鍵を開けると母達が入ってきて、広い部屋、凄いゴージャスなベッド、クロゼットを開け、
「何?!この洋服、靴、バッグ、凄い!!
まあ! 丸いお風呂!!
大理石ね!
絨毯、白よ! 王妃様ね!
要子! キレイね!
オデコ出したら美人よ!
意外ね!
要子は可愛いだけじゃなくて美人だったのね! 」
母達は2人の美容師が日本語は分からないと思うのか、勝手にあちこち開けまくり、ああだこうだと騒いで。
千代子はベッドを気に入ったようで、
リッカルドに頼んで、同じようなベッドにしてもらうと言い、
紀代子は要子にこっそり、昨夜は王様と一緒に寝たのかと聞き。
要子は1人で寝たと答え、それにしても騒々しい家族だと思う。
父は何をしているのか、母は父をほったらかして動く人なので、
要子は静かで何があっても控え目の父が気掛かりで。
紀代子は要子の胸元を眺め、立ってみてと言い、
「コルセットの力って、なかなかね! 要子、きつくない?
少し歩いてみて! 大丈夫かな?
ヒールの靴も初めてよね! 」
(つづく)