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第20話

 要子は執事のミスターマッドと話すことで、ふらふらしていた気持ちも決まり、翌日は晴れ晴れとした表情で結婚式に臨みました。   


16才になったばかり、今朝、要子は16才になったのです。


要子は生まれて初めてお化粧というものをしてもらい、髪もただ肩まで下げていたものを、丁寧にカットしてもらい、


カールで巻き、鏡に映る姿に、自分ではないような不思議な感覚で。


それは、なかなか美しい姿だったのですから。


腰をぎゅーと締めて、胸をぐーんと上げる下着を付けられ、ウェディングドレスを着せられると、自分の姿にうっとりしてしまいました。


頭に豪華なティアラを載せられ、美容師さん達は口々に、こんなティアラ見たこと無い、


すごい高いはず、、


これ、全部ダイヤよ、、、


要子は昨夜、王様のお母様に会い、このティアラを渡されたのですが、


なんでも王様の一族に伝わるティアラのようです。


頭から落ちないようにセットしてほしいと、拙い英語で頼むと、2人の美容師さんは、


「お任せ下さいませ、王妃様」と。    


要子はたじたじとしてしまいました。


自分よりずっと年上の女性に王妃様と崇められるのが、面映ゆかったのです。


   チャイムの音。


ドアをノックすると部屋が広いからかチャイムが鳴る。


手元の端末を見ると、千代子と紀代子と母親が立っていました。 


 端末を操作して、鍵を開けると母達が入ってきて、広い部屋、凄いゴージャスなベッド、クロゼットを開け、


「何?!この洋服、靴、バッグ、凄い!! 


まあ! 丸いお風呂!! 


大理石ね! 


絨毯、白よ! 王妃様ね! 


要子! キレイね! 


オデコ出したら美人よ! 


意外ね! 


要子は可愛いだけじゃなくて美人だったのね! 」 


 母達は2人の美容師が日本語は分からないと思うのか、勝手にあちこち開けまくり、ああだこうだと騒いで。


千代子はベッドを気に入ったようで、


リッカルドに頼んで、同じようなベッドにしてもらうと言い、


紀代子は要子にこっそり、昨夜は王様と一緒に寝たのかと聞き。  


要子は1人で寝たと答え、それにしても騒々しい家族だと思う。


父は何をしているのか、母は父をほったらかして動く人なので、


要子は静かで何があっても控え目の父が気掛かりで。


  紀代子は要子の胸元を眺め、立ってみてと言い、


「コルセットの力って、なかなかね! 要子、きつくない?  


少し歩いてみて! 大丈夫かな? 


ヒールの靴も初めてよね! 」 





      (つづく)

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