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第20話 王都での陰謀



リリィとクラウディウスは、クラウス宰相の陰謀を暴くため、重要な証拠を手に王都へ到着する。しかし、すでに宰相の影響は王宮内に深く及んでおり、二人は新たな危機に直面する。証拠を届けるべく、二人は策を練りながら行動を開始する。



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王都の門が視界に入ると、リリィとクラウディウスは再び足を早めた。大きな城壁が朝日に照らされ、壮大な光景が広がっている。だが、その威厳の裏にはクラウス宰相の手が深く伸びていることを二人は知っていた。


「王都に入るのは簡単じゃないわね。」

リリィは門を警備する兵士たちを見ながら低く呟いた。


「奴らの中にも、宰相の部下が紛れている可能性が高い。」

クラウディウスは剣を隠しながら周囲を警戒していた。



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王都への潜入


二人は正面から入るのではなく、裏門を利用することを決めた。裏門は貴族や商人の使用頻度が低く、警備が薄いことをリリィが事前に調べていたからだ。


「ここからなら、注意を引かずに王宮へ近づけるわ。」

リリィは低い声で言いながら、クラウディウスを導いた。


裏門の警備は二人だけだった。リリィは素早く兵士たちの隙を突き、一人を気絶させ、クラウディウスがもう一人を抑え込んだ。


「順調ね。このまま王宮の近くまで進むわよ。」

リリィは兵士たちを縄で縛り、二人は足早に裏道を進んだ。



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王宮内部の異変


王宮の近くに到着した二人は、異様な光景に気づいた。通常なら賑やかな王宮周辺が、不気味なほど静まり返っている。通りを歩く人々の顔には、不安の色が濃く漂っていた。


「何かがおかしいわ……王宮全体が妙に静かね。」

リリィは周囲を見渡しながら警戒した。


「クラウスの影響がすでにここまで及んでいるのかもしれない。」

クラウディウスも険しい顔で頷いた。


王宮の門には多くの兵士が配置されていたが、その中には見慣れない者たちが混じっていた。彼らは明らかに王国の兵士ではなく、宰相の私兵のようだった。



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密偵からの情報


リリィとクラウディウスは、王宮に潜入する前に情報を集める必要があると考えた。彼らは信頼できる密偵を探し出し、現在の王宮内の状況を確認することにした。


「王宮の中は、すでに宰相派がほとんどを抑えています。正面から証拠を提出しようとしても、取り合ってもらえないでしょう。」

密偵の男は低い声で警告した。


「じゃあ、どうすればいい?」

クラウディウスが問いかけると、密偵はしばらく考え込んだ後、答えた。


「裏口から王の直属の執務室に直接向かうのが一番です。そこにはまだ宰相の手が届いていない可能性があります。」



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宰相派の罠


二人が王宮に潜入し、執務室へ向かう途中で、思わぬ罠が仕掛けられていることに気づいた。廊下の奥から複数の足音が響き、宰相派の兵士たちが二人を追い詰めてきたのだ。


「侵入者だ!捕らえろ!」

兵士たちの声が響き渡り、数人が剣を抜いて二人に迫ってきた。


「ここは戦うしかないわね。」

リリィは短剣を抜き、クラウディウスに目配せを送った。


「俺が先陣を切る。君は後方を頼む!」

クラウディウスは剣を構え、敵に立ち向かった。


激しい戦闘が廊下で繰り広げられた。クラウディウスはその剣技で敵を次々と打ち倒し、リリィも隙を突いて敵を無力化していく。



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執務室への到達


戦闘を切り抜けた二人は、ついに執務室の前にたどり着いた。扉の前で息を整えながら、リリィは握りしめた書類を確認した。


「この証拠を王に届けられれば、クラウス宰相の計画を止められるわ。」

彼女は強い決意を込めて言った。


「だが、ここからが本当の試練だ。王が味方である保証はない。」

クラウディウスは扉を見つめながら静かに言った。


二人は短く頷き合い、執務室の扉を押し開けた。そこにはまだ何も知らない王が座しており、二人を見上げて驚きの表情を浮かべていた。



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王への直訴


リリィは書類を差し出し、王に向かって深く頭を下げた。「この書類をご覧ください。これはクラウス宰相が進めている陰謀の証拠です。」


王は警戒しながら書類を受け取り、内容を確認した。読み進めるうちに彼の顔は青ざめ、明らかに動揺を見せた。


「これは……本当なのか?」

王の声は震えていた。


「間違いありません。この計画が進めば、王国全体が危機に陥ります。」

クラウディウスが毅然と答えた。


王は書類を握りしめ、深く息を吐いた。「この場で宰相を召喚し、真実を確かめる。」



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新たな危機の兆し


王が宰相を呼び出そうとしたその時、執務室の扉の外から騒音が聞こえた。宰相派の兵士たちが執務室に向かって進軍しているのだ。


「時間がないわ!」

リリィは短剣を構え、扉の方を振り返った。


「守るぞ、ここが最後の砦だ!」

クラウディウスは剣を握りしめ、扉の前に立ちはだかった。





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