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初恋華〈一片開き→開花③〉



 そんな事を知らない兄弟たちは、目の前の屋台に釘付け。


「す、すごぉ━━━い!私、何を頼もうかな?フルーツミックスの雲クリームにしようかな?あ、でも……大人のアールグレイ檸檬王冠も素敵だし……」

「お姉ちゃん。ぼくの注文したかき氷と半分こしようよぉ☆」

「あ、くもりお兄ちゃん。わっちもかき氷頼むから、皆でシェアしようよ」

「え━━……、大地もシェアするの?なんか……面倒くさい」

「━━━ッ⁉」

 「ちょっと、くーちゃん!お兄ちゃんでしょ⁉末っ子を泣かさないの。そういう子は、嫌だよ‼」

「━━━ッ⁉やだやだやだ‼シェアするから嫌いにならないでよ。お姉ちゃぁ~ん」

「もう、くーちゃん。泣きながら服を引っ張んないでよ。伸びちゃうから。あと鼻水出てるし」

「あ、嵐お兄ちゃんは何を頼む?わっちね、このグレート四露詩久っていうのにしようかな」



 あ……うん。俺の妹と弟たち、自由すぎるな。



「ーーちょっと、皆!騒がないのッ‼」


 鶴の一声が遮った。

 俺と一緒に外野気分で観ていた次男の宇宙が、沈黙を破った。この言葉に、賑やかだった弟たちの会話がピタリと止まる。

 「皆、お祭りでテンション上がるのは分かるけどさぁ……。此処、公共の場だからね。周りを見てみ?注目の的になっているよ」

 更に続けて話す宇宙。最後、「ほら」と目配らせし弟たちを誘導させた。すると、こちらのやり取りに『あら~、はしゃいで微笑ましいわね。あの子たち』、『もしかして、兄弟かな?』クスクスと穏やかに笑っているお客たち。

 この光景に、妹は顔を真っ赤にさせ俯いてしまった。

「……これで分かった?」

 宇宙の言葉に、無言で首を縦に振る妹。よほど、恥ずかしかったのか言葉が出てこないらしい。そんな不名誉の注目にあった風羅に対して、心の中で合掌した。


 「とりあえず、列に並んで食べたいものを考えたら?今、長蛇の列だから待っている間に決めることができるし。最初は、末っ子組から並んで。大地、くもり、風羅、嵐、僕、海里兄さんの順番で……」


 「━━━ちょっと、待て!」

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