そんな事を知らない兄弟たちは、目の前の屋台に釘付け。
「す、すごぉ━━━い!私、何を頼もうかな?フルーツミックスの雲クリームにしようかな?あ、でも……大人のアールグレイ檸檬王冠も素敵だし……」
「お姉ちゃん。ぼくの注文したかき氷と半分こしようよぉ☆」
「あ、くもりお兄ちゃん。わっちもかき氷頼むから、皆でシェアしようよ」
「え━━……、大地もシェアするの?なんか……面倒くさい」
「━━━ッ⁉」
「ちょっと、くーちゃん!お兄ちゃんでしょ⁉末っ子を泣かさないの。そういう子は、嫌だよ‼」
「━━━ッ⁉やだやだやだ‼シェアするから嫌いにならないでよ。お姉ちゃぁ~ん」
「もう、くーちゃん。泣きながら服を引っ張んないでよ。伸びちゃうから。あと鼻水出てるし」
「あ、嵐お兄ちゃんは何を頼む?わっちね、このグレート四露詩久っていうのにしようかな」
あ……うん。俺の妹と弟たち、自由すぎるな。
「ーーちょっと、皆!騒がないのッ‼」
鶴の一声が遮った。
俺と一緒に外野気分で観ていた次男の宇宙が、沈黙を破った。この言葉に、賑やかだった弟たちの会話がピタリと止まる。
「皆、お祭りでテンション上がるのは分かるけどさぁ……。此処、公共の場だからね。周りを見てみ?注目の的になっているよ」
更に続けて話す宇宙。最後、「ほら」と目配らせし弟たちを誘導させた。すると、こちらのやり取りに『あら~、はしゃいで微笑ましいわね。あの子たち』、『もしかして、兄弟かな?』クスクスと穏やかに笑っているお客たち。
この光景に、妹は顔を真っ赤にさせ俯いてしまった。
「……これで分かった?」
宇宙の言葉に、無言で首を縦に振る妹。よほど、恥ずかしかったのか言葉が出てこないらしい。そんな不名誉の注目にあった風羅に対して、心の中で合掌した。
「とりあえず、列に並んで食べたいものを考えたら?今、長蛇の列だから待っている間に決めることができるし。最初は、末っ子組から並んで。大地、くもり、風羅、嵐、僕、海里兄さんの順番で……」
「━━━ちょっと、待て!」