またしても、鶴の一声が会話を遮る。
その声の主へ視点を変えると、海里だった。しかも、険しい表情で。
(珍しい……。会話している最中に止めるなんて)
それは、俺だけじゃなくて兄弟たちもだったようで。普段、聞き手側が多い海里。相手の会話を遮ることなんてしない。
それは、同じように思った皆。不思議そうに海里へと視線を向ける。そんな長男の様子に、飄々と仕切っていた宇宙も察したようで口を閉ざした。
「風羅、そろそろ行かないと。時間が……」
「え……、何が?」
「いや……、だから」
「そんなことより、海里はかき氷どれにする?」
「いや、俺はいい。━━そうじゃなくて、それより支度しないと」
「…………?」
「〈巫女舞〉に出るんだろ!」
「……あ、忘れてた‼」
ここで、海里が会話を中断させた意味が分かった。それにしても……
(相変わらず言葉が足りねぇんだよな……。コイツ)
そう、海里は口下手野郎だ。聞き上手はトーク上手と思うヤツはいるだろう。それは、一部除いてだ。コイツは、口下手で誤解されることが多い。
先日も、学校で隣のクラスの女子に告られた時もそうだった。
たぶん、「ごめん。今は、恋愛に興味ない」と伝えて断ろうとしたんだろう。緊張していたのか……主旨が抜けて
「ごめん。(今は、恋愛に)興味ない」
と返答した。もちろん、相手には誤解されてしまった。そして、
「はぁ⁉『ごめん。興味ない』って……断るにしても言い方ってもんがあるでしょうが‼」と涙で罵倒され、ビンタをされてしまった。最後には、
「アンタみたいな女を見下す冷血野郎は、こっちから願い下げよ‼クソがッ‼」
誤解されたまま、暴言吐かれて終了……。
それ以来、自己主張を控えている海里。
(今思えば、不器用というか世渡りが下手くそなんだよなぁ……。コイツ)
一つ屋根の下で生まれて観てきたけど、生き方が不器用すぎる。
しかも傷付きやすい繊細な心だし。たぶん、大人になったら一人で生きることに苦労するだろうな。本当は、人一倍努力家で優しいのに。
(なんで海里ばっか、こんなに苦労しなきゃいけないんだ……?)
「やっぱコイツを守れるのは、俺しか━━……」
ここで、俺の中で疑問が生まれる。
(ん?今……、何を言葉にしようとした?)
無意識に呟いてしまった言葉。何を思って口にしたのか分からない。
でも……、海里のことを考えたら無性に守りたくなってしまった。ほっとけないというか、一人にしちゃいけないヤツだとか……、色んな感情がぶわって込みあがってきて。それで……、
「━━━それじゃ、みんな。巫女舞の衣装に着替えなきゃいけないから行くね」
思考の海に沈んでいた意識が、一気に現実へと浮上する。
妹の声に我に返った俺は、やり取りが分からずのまま。だが、これから巫女舞に参加する準備をする、ということだけは察した。
ここで、別のことで疑問が生まれる。
「なぁ…………、何で