俺の質問に、この場の空気が変わった。
まるで、豆鉄砲くらったような顔をする兄弟に、こちらもどういうことだ、と頭の中が〈?〉だらけになってしまう。すると、
「海里兄さんは、風羅が一人で控室へ行くのに大変だから付き添いに同行するって、さっき言っただろう?何を聞いてたの⁉嵐」
ズイっと、俺の顔へと自分の顔を近づけてきた宇宙。しかも、しかめっ面と指を差してだ。
俺より背の低い次男。上目遣いでこちらをジト目している。傍から見たら、微笑ましい兄弟のやり取りと思っているだろうな。でも、兄弟たちは宇宙の性格を嫌というほど知っている。だから……、この状況を止めない。……いや止められないんだろな。
「え……?そうなの⁇」
「五秒前に、海里兄さんから説明があったじゃん!もうさ、本当に耳だけじゃなくて脳みそもポンコツ越して、老化してんじゃないの⁉病院行ったら?」
「それは、言い過ぎだろ⁉宇宙。俺だってな、人の心あるんだぞ‼傷つくことだって━━━……」
「それだったら、この僕にポンコツって言わせるなよ!ほらぁ~、このやり取りだって皆の時間の無駄にさせているんだからな。自覚できないの?━━え?もしかして、バカなの⁇ねぇ。あとこれ以上、口答えするんだったら残りの夏休みの宿題を手伝わないからな」
「━━ッ!お、おまえ。それは卑怯━━……」
そう、コレがあるから他の
宇宙は、兄弟の中でプライドが高い。コイツの言い分に返答すると、こうしてアルト調の声で、十倍で毒を吐いてくる。しかも、隙を見て人の弱みを一刺ししてくるから達が悪い。
(マジで……?宿題手伝ってくれないのか⁇あの量をッ⁉)
予想外の出来事に、窮地に立たされてしまった俺。これから、誰に宿題を手伝ってもらえば良いのか……と頭を悩ませている余所に、
「そうそう。とりあえず、海里兄さんさ。風羅を控室に連れて行くんでしょ?」
「あ、あぁ、そうだな……」
「ポンコツ嵐と弟たちの面倒は僕が見るからさ。早く行きなよ。時間、危ないんじゃないの?」
「━━━ッ⁉風羅、あと四十分で舞が始まるぞ。早く、行かないと‼」
「え……、でもかき氷が、まだ……」
「舞が終わったら食べる時間があるから。━━━━それより、早くしろ‼
どうしても今、かき氷を食べたかった妹。最後の抵抗で歯切れの悪い主張をしたが、海里の言葉で却下されてしまう。そのまま、海里に連れられてこの場を去って行った。
ふと、ここで妙な感覚が生まれる。
(二人して、って……どういう意味だ?)