これは、実際に私自身が目撃した話となります。
今回の話はコロナ過の時期まで遡ります。
その当時は、皆様ご承知のように感染対策のため、室内の設備や人混みの多い場所に遊びに行く事が出来ませんでした。
私は、比較的近場のS県にあるハイキングを目的とした登山コースが人も少ないスポットである事を知ったので、感染症対策とストレス発散も兼ねて遊びに行くことにしたのです。
そのコース入り口から数分歩いた場所に、プレハブ小屋のような建物があったのを目撃しました。
それだけであれば何も珍しくはありませんが、小屋の周囲には高さ3~4mほどの高さで白い男女の石像が数体建っておりました。
さらに不気味さを感じたのは、小屋の玄関先には血を連想させるような赤い文字で、透明人間に襲われたと主張する家主の体験談(かなりの長文で)が書かれた看板が立てかけられており、自然溢れるハイキングコースには似つかわしくない
以下に、その看板に記されていた内容を私の解釈も交えて、お伝えしたいと思います。
家主のFさん(仮名)が、この家に引っ越して2~3年程経った頃、夜中寝ていた彼は、気配を感じて目を覚ましました。
すると、
その人物はしゃがみ込むと
この時のFさんは(幻でも見たのか)と思って、再び眠りました。
しかし、看板に記された話によれば、これが後に彼の命を狙う透明人間とのファーストコンタクトだったそうです。
3月5日(※西暦は書かれていなかったので不明)の20時位に、家の外にある彫刻が、何者かによって火がつけられ、それが原因となり家が全焼したそうです。
看板の説明によると、20時前後に家の外から物音やトタン屋根から足音が聞こえた後に、〝ドサッ〟と何かが落ちる音がしたとのことです。
その直後〝ボンッ〟と爆発音らしきものが聞こえたそうですが、Fさんは疲れていたので、そのまま眠りました。
22時前後、彼は何かが燃えているような轟音を聞いて目を覚ました。(風でも吹いたのか?)と思って、家の外に出ると彫刻が燃えていたそうです!
彼は慌てて台所の蛇口にホースを繋ぎ、消火を試みたのですが、無理と悟り逃げ出したため、焼死を免れました。
その看板には、「後5分逃げるのが遅かったら、焼け死んでいたかもしれない」と記されていました。
Fさんいわく、自分を焼き殺そうと企んだ主犯は町内会の人間であり、長年に渡って数々の嫌がらせを受けていたそうですが、その人物は二重人格者であると同時に、野獣への変身能力も兼ね備えているとのことです。
更に、その町内会の人物は(透明人間になれる服や超音波銃を所持しており、それらを使い自分を殺そうとしている)と彼は看板内の文面で主張しておりました。
以上が、私の知っている〝透明人間の殺人鬼〟の話となります。
Fさんの主張は、(全焼したはずの小屋が何故存在してるのか?)など色々と矛盾を感じる箇所もあったので、私個人は看板に書かれた内容全てを鵜呑みにはしておりませんでした。
後々の調査によると、彼は芸術家らしく、プレハブ小屋はアトリエも兼ねていたので、周囲には彫刻が立っていたそうです。
私が、この話で1番怖いと思ったのは
余談ですが、それから翌年末に、私はS県に用事があったので、Fさんの小屋を見に行ったのですが、看板はそのままでしたが、白い彫刻は全て無くなっていました。
まるで、最初から彫刻など存在していなかったかのように……。