目次
ブックマーク
応援する
9
コメント
シェア
通報

第14談 古井戸奇談

 某大企業に勤める知人のNさん(40代男性)から、彼の同僚が体験したというお話を皆様にお伝えしようと思います。


 その同僚はBさんという女性の方です。

 ※ご本人の希望により年齢非公開。


 彼女は、東京の本社勤務だったのですが、ある年の春に実家のあるG県の支店に転勤となりました。


 幸いにも支店から近いという事もあって、彼女は実家に戻ることにしました。


 実家には両親と妹、彼女の旦那さん(いわゆるマスオさん状態です)と息子さんが暮らしており、Bさんも入れて6人による生活がスタートしました。


 それから、数ヶ月が経ったある日のことです。


 彼女の実家の庭には、曾お祖父さんよりも前の代に作られた古井戸がありました。


 しかし、もう何十年も使ってないし、妹の息子さんが落ちて怪我したりするかもしれないので、取り壊してしまおうという話になったそうです。


 そして、業者によって古井戸は撤去され埋め立てられました。


 Bさんの両親は、空いたスペースを使ってガーデニングをしようかなど、色々計画を練ってワクワクしていたそうです。


 しかし、この出来事が、のちに彼女達一家を襲う数々の怪奇現象の発端となることは、この時は家族の誰もが夢にも思いませんでした……。


 井戸の工事が終わって2~3週間くらい経った頃です。


 Bさんの両親と妹一家が旅行に出かけることになりまして、その期間中は実家には彼女1人だけが残ることになりました。


 仕事を終えて帰宅した彼女は、食事と入浴を済ませると、2階の自室で早々に寝てしまったそうです。


 ……ふと目を覚ました彼女が時計を見ると、まだ真夜中でした。


 もう一眠りしようと思った直後、1階から人の話し声のような物音が聞こえてきました。


 半分寝ぼけていた彼女は(ああ、居間のTVを消し忘れていたのかなぁ)と思っていましたが、TV


 その事に気が付いた途端、眠気は一瞬にして吹き飛び、恐怖で体がガクガクと震え始めたそうです。


 泥棒が入ったのかもしれないので、警察に通報しようかとも考えましたが、間が悪い事にスマホは1階の食堂に置きっぱなしでした。


 しかし、このままにしておくわけにもいかないので、意を決した彼女が忍び足で1階に下りると〝話し声〟は応接間の方から聞こえてきます。


 しかも、5


 〝応接間の中の彼ら〟は、ボソボソと小声で会話しているらしく、その内容までは応接間に近づかないと聞き取れません。


 まず、Bさんは応接間の前に玄関を調べましたが、鍵はしっかりと掛かっていました。


 次に、彼女は応接間に近づき、会話の内容を聞き取ろうと思い、扉に耳を当てました。


 「苦しい!!」


 「助けてくれー!」


 「呪ってやるぅぅー!」


 


 それらの声から激しい〝恨み〟や〝苦しみ〟といった怨念を本能で感じ取った瞬間、彼女は着の身着のまま家を飛び出し、近所のファミレスで夜が明けるまで過ごしました。


 朝になって、家に戻ると話し声は聞こえてきません。


 恐る恐る応接間の扉を開けましたが、室内には誰もいませんでした……。


 彼女は旅行から帰ってきた家族に、この出来事を話しましたが「寝ぼけて悪い夢でも見てたんだよ」と笑って誰も取り合ってくれなかったそうです。


 そして、彼女自身もこの出来事は(自分の思い違いだったんだ)と考えるようにしました。


 しかし、Bさん一家を襲う怪奇現象は、まだまだ続くのです!!


 この続きは次回のお話で、皆様にお伝えしたいと思います……。





この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?