これは、SNS経由でQさん(仮名 女性 年齢非公開)という方から寄せられた話です。
QさんにはFさんという女性の親友がいたそうで、彼女は長い間不妊治療を続けていたそうです。
治療を始めてから10年目になろうとした時に、今までの努力が実り女の子を授かり無事に出産しました。
その娘さんは健康に成長し、3歳の誕生日を迎えた日のことです。Fさんはプレゼントとして日本人形を渡しました。
娘さんはその人形を気に入って、遊びに行く時も寝る時も、いつも一緒にいたそうです。
しかし、娘さんが小学校に入学した直後、Fさんは癌に侵され、帰らぬ人となってしまいました……。
娘さんは、日本人形を母の形見として、より一層大切にしていたそうです。
彼女が中学生になった頃、下校中に最寄駅の階段から転げ落ち、頭を強くぶつけたせいで意識不明の重体となり、生死の境を彷徨っていました。
後に彼女は意識を取り戻し、無事に退院出来たそうですが、目覚める直前まで「母が側にいてくれた夢を見ていた」と、父親に話したそうです。
そして、帰宅した彼女は、
事故に遭った日も人形は自室に大切に保管してあったはずなので、父にも尋ねましたが、「俺は知らないぞ。 どこかにあるんじゃないか?」 という回答でした。
娘さんは家中を探しましたが、結局人形を見つけることは出来ませんでした。
悲しみに暮れた彼女に対して、父親が人形について話してくれました。
その話によれば、生前Fさんは、
そう!形見の人形の髪の毛と着物は、母親の物が使用されていたのです!
娘さんが幼少期より人形を気に入っていたのは、もしかしたら本能的に母であるFさんの匂いを感じていたからかもしれません。
真相を知った彼女は、母親の強い愛情を感じたと同時に、今は亡き母のことを想い号泣したそうです。
「きっと、お前が助かったのは、母さんの人形が身代わりとなってくれたからだよ。だから、もう泣くんじゃない」
父親は、そう言って泣き叫ぶ娘さんを励ましてくれました。
その後、何年も経っていますが、
Qさんの話によれば、娘さんは現在立派な社会人になったそうです。
今までの話は、Qさんが成人式のお祝いを届けに行った際に娘さんから聞いたそうです。
ちなみに、娘さんは母親の命日には
なぜ、2人分なのかと言いますと…
(お父さんの言う通り、あの人形は、あの時に私を守ってくれてお母さんの元に旅立ったんだわ。いつか私が死んだ時、 天国に行ったらお母さんと人形に会えるよね?)
彼女は、そう考えてお母さんと無くなった人形のために、お線香を焚いているそうです……。