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第25談 トンネルの中で⋯

 これは知人の女優である宮坂真理(芸名)さんが、小学生の時に体験したという話です。


 私事ですが、2016年に公演した『地下アイドル☆ミコりんのマニアック事件簿2〜白薔薇姫連続殺人事件〜』というミステリー演劇作品の原作と脚本を担当した事があります。


 宮坂さんは、その作品に役者として出演してくれた縁で知り合いました。


 今回、ご本人から了承を頂きましたので、芸名で紹介させて頂きます。


 彼女の地元である某県の観光地で有名な〇〇高地という場所があります。


 その近辺には日本一高い山々が連なるため、トンネルが無数に存在しています。


 宮坂さんが小学生の頃、『9』という奇妙な噂があったそうです。


 ある年の夏休みに彼女の家族及び親戚と旅行に行くことになりました。


 その頃になると、彼女は旅行が楽しみすぎて〝トンネルの噂〟のことはすっかり忘れていたそうです。


 宮坂さん一家の車を先頭に、まだ日も昇らない暗いうちに出発しました。


「よーし、これから〇〇高地を通るぞ!」


 運転してるお父様の言葉で、彼女は学校内の噂を思い出しました!


 旅行に向かう道中ということもあってか、助手席に座っていた宮坂さんは


 (確か、幽霊が出てくるトンネルって 9番目だったな!)


 と、朝靄の中を数えながらワクワクしていたそうです。


やがて、噂の9番目のトンネル通過!!⋯⋯しましたが、彼女が期待していた幽霊の類のような存在は、全く見当たりません。


 (なんだ、なんにも出ないじゃん)


 がっかりした宮坂さんのの気持ちを知る由もなく、お父様の運転する車は10番目のトンネルへ突入しました。


トンネル内を少し走行して、出口が見えた時です。


 出口付近で1人の男性が両手を上に挙げて、


「おーい!止まれー!」


と、合図してるような仕草をしていることに宮坂さんは気がつきました。


 右手には棒らしき物を持っているようでしたが、逆光のためか、その男性の顔と服装は確認出来ませんでした。


「あの男の人、あんな所にいて危ないね」


 彼女は、お父様に言いましたが、運転に集中しているのか、何も答えてはくれませんでした。


「真理、バナナ食べる?」


その時、後部座席のお母様がバナナを勧めてきました。


「要らない」


 彼女がお母様に返事をして、


「ねえ、お父さん、さっきの男の人は?」


「誰もいないよ」


「出口で手を挙げてた人いたじゃん!」


「お父さんは見てないよ。真理の見間違いじゃないのか?」


「ウソ!?」


 この会話の直後、車はトンネルを出ました。


 出口付近の左右両側には崖があり、しかも一本道です。


 しかし、宮坂さんが目撃した男性はどこにもいませんでした。


 (あれが、噂の〇〇高地のお化けなの?) 


 車内の中で、宮坂さんは男性の正体について1人考えていたそうです。


 ⋯⋯夏休み明け、宮坂さんが級友たちにこの出来事を話したところ、1人の友人がある噂を教えてくれました。


それは、1そうです。


 生き残った相手は発覚を恐れて、殺してしまった同僚の遺体をトンネルの壁に埋めて、その上からコンクリートで固めて隠しましたが、という内容でした。


 級友の話を聞いた時、彼女は男性が右手に棒を持っていたことを思い出しました。


 (ひょっとして、あの棒は喧嘩の時に使ってた武器だったのかしら?でも、あの男の人、足があったよね!? 幽霊なら足が無いはずなのに)


 宮坂さんは、あの日トンネルで目撃した男性について色々と考えましたが、結論が出せなかったそうです........。



 宮坂真理さんは、幼少期から色々な不思議な体験をしており、他にも非常に興味深い話を取材させて頂きました。


 他の体験談は、別の機会にご紹介したいと思います。


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