ただ今、深夜十一時五十九分にて。
ある講演会の音響器具から、《ピ、ピ、ピ……》と規則的な機械音が控えめに鳴り響く。時折、ジジッ…と砂嵐のような汚いノイズも混ざり、耳に受け付けられにくい。
そして、《ポ━━━…ンッ!!》一つの綺麗なソプラノ音。透き通った鉄琴の高音が自己主張をする。
深夜零時ちょうどになった、今。
室内の照明が消えた。と思ったら、すぐに淡いオレンジ色の照明ランプ達が、とある一箇所に集まる。
それは黒い塊に強く、強く光を降り注いでいた。━━━塊にだ。いや、一人の人間にだ。
顔を俯かせたままの佇んでいる相手は、すっ……と静かに顔を上げる。
◇◇◇
「どーも、こんばんは!今回も不定期恒例、神龍時 宇宙の気まぐれ劇場のお時間がやってきました~~~━━━━!!抽選で当たった観覧席の皆さん、お待たせです☆」(営業スマイル)
今回は初めての方もいますので。では、軽く自己紹介をしますね!
改めまして、僕は【
家族構成は両親と僕含めて六人兄弟、合計八人家族になります。僕たちは六つ子になりまして、ちなみに僕本人は次男になりますね。
職業は小説家と皆のサポート役として【厄除師】のお仕事もやってるんですよ〜♪
な・の・で、僕たち、十二支家系が一般の家庭より少し、ほんのすこーしだけ特殊なだけ。それ以外は、そこら辺の一般家庭と同じなのでご安心下さい♪
ここで、〈厄除師〉とは何か?━━疑問に思っている方は、いると思いますので、ご説明しますね!
僕たち、厄除師は結論からいうと……厄を払う者ですね。…………あ、単調過ぎましたね!
ここからは、現代まで引き継がれた伝承を一部、ご説明しますね。
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時は遡り、平安時代。
この時代は死霊、生霊などの怨念で溢れ災害が多かったそう。
その度に、死者の数は右肩上がりになっていった。
例えば━━……
突如、口から泡を吹き出し金魚を吐き出して亡くなる武士。
とある夜に牛車に乗っていた貴族が、忽然と神隠しに遭ったり。
また、ある時は……山の中で無念で亡くなった者が魍魎になったり。木こりたちの道中に土砂崩れの餌食にし、仲間を増やしたりなど……の被害により都の人口が、減っていく日々が半年続いていったそうです……。
そんな、不可思議な恐怖に包まれた都。
貴族たちは、名高い陰陽師、霊媒師に退治を依頼するが……無念の死で終わりを迎えてしまうのです。
そんな状況でも、ますます都の被害は悪化し都外にも気の澱みが包み込むように広がっていくばかり。
それは都の外れに住んでいた農民たちにも、影響が出た。精神的におかしくなる者もいれば、農作物が枯れ、腐る被害も大きくなっていた。
そして、その中で澱みは━━━二段階あるんですよ。
まずは、【置き去り】。
あの世に行きそびれて、この世に生まれそびれた〈
それは、人間だけでは無くこの世に存在するモノ、モノが思い残した想いのまま、この世に彷徨い、留まり続けているモノたち。━━のことになりますね。
この時点では、負の感情によって【厄】になる前の初期段階のパターン。だいたいが、理性が残っている状態ですね。
次に、【厄】。
簡単に言えば、置き去りが進化した〈怨霊の塊〉ですね。
〈置き去り〉が、恨み、怨み、辛みなどの憎しみによる負の感情が一定を超えてしまうと、理性が無くなってしまうんです。その時の感情の重さによって変貌する厄介な塊。
負のエネルギーによって変貌した魂は、対象物を呪い殺したり、自然災害を起こしたりする。
父さん曰く、感情を吐き出したくてもできずに、我慢に押し潰された可哀想な被害者。
さらに深めの話をすると、【厄】は現時点でレベル1〜10まである。
数字が大きくなるほど、厄処理に悪戦苦闘になり困難にパターンが多い。
⚪︎レベル1〜3の厄
ただ理性の無い塊が多く、獣のように猪突猛進のように力技で襲ってくる。
捕獲して、比較的に処理ができるパターン。
このシゴトは、現代の新人厄除師が担当している。
⚪︎レベル4〜 の厄
擬似理性、知識が備わっている為。世の中に擬態化しつつ、一般人を襲いかかる澱みの塊。
レベルが高いほど喰い殺して、自身の魂の栄養源にしている輩。人間を利用して、寄生し存在し続ける【厄】などが世界中に存在している。
すぐに痕跡を消して姿を眩ませる為、見つけることが困難。よって、数十年前からの難儀な案件が現代まで引き継がれているのが多々。
そんな澱みから生まれたモノを鎮めるため。とある男が、この地に配属された。