「いやぁ〜、すんごく澱んでいるねぇ。ぼく一人だけじゃ大掃除が難しいかもしれないねぇ。というか、無理だわ。コレ」
山のてっぺんから見下ろしながら、他人ごとのようにあっけらかんと言葉にする若き男。
ふっくらとした顔つきに、空のように澄んだ瞳の人たらしの下がり目。血色の良さは人好きの印象が強い。
風が、横殴りし銀色に近い白い髪は、流れるように一つ縛りのポニーテール。この時代には場違いなスーツも風に吹かれ大きく揺れる。
空気が、コバルトブルーと漆黒で混ざり都全体が覆われている中。魑魅魍魎、小鬼、夜叉などになった〈元人間〉が好き勝手に暴れている様子を視界に入ってきた。
「……まず、コレらを浄化させないと。そのためには……」
指に顎を乗せ、ふむ……と思案し、ピンと思いつく。
「それだったら、〈元人間〉の浄化は人間にやって貰えば良いじゃないか!今から、スカウトに行ってきますかね♪」
そう呟いた男は、足の裏に力を込めこの世界の空気を蹴る。そして、飛び降りた。滑らかな空気の層に乗って、更に蹴り上げると前に進んでいく。
一歩、一歩、前進していく彼。そのまま、目的地である都の地へ向かった。
「あ、その前に……この時代に合わせた服装にしないといけないか。さて、どの人間の服に変えようかねぇ~~?」
ここから見込みのある人間をスカウトをして、一ヶ月後。
その者たちに条件付きで雇い、結成されたグループ。それが、━━【厄除師】。
後に。スカウトした彼は皆から尊敬され、〈公主〉呼ばれることになる。そして、現在の彼は〈社長〉と呼ばれているのは別の話で。
そして筆頭の公主の元に、彼を尊敬し彼の下で働く━━ 十二人の部下がいた。
リーダーである公主はこれから先、彼らに子々孫々と厄除師として澱みを浄化して欲しいと願った。この世の中を平穏な日々にして欲しいと、想いを込めて………。
よって、姓が無かった彼らに、神聖なる動物の漢字が一つ入った〈名字〉と〈能力〉を(例外を除き)それぞれ授ける。
後に、部下である厄除師十二人を、〈十二支〉として名づけた。
〈子〉は、〈子島〉
〈丑〉は、〈丑崎〉
〈虎〉は、〈虎徹〉
〈卯〉は、〈卯ノ月〉など……
そして、十二支の創始者になった彼ら。公主の次に筆頭する副管理人となり、これからの未来を支えるため、能力を授けてくれた公主を支えるために組織を固めようと話し合いをした。
ここで各干支の始まりの一族として、〈本家〉が誕生する。
数年後。創始者たちは各本家内で、一族を束ねる大黒柱が必要だと話があがった。
議論を重ねて、重ねて半年経ったある日。優秀な厄除師が一族を束ねる〈当主〉として、子々孫々と厄除師の伝統を引き継げば良いと一致団結する。
その筆頭の元、厄除けの稼業は子孫へ引き継がれていった。
それは本家の者たちだけではなく、数年後に生まれた〈分家〉にも厄除師の伝統が現代までひっそりと引き継がれ ━━━現在に至る。
ちなみに、公主の事については……〈何も気にしてはいけない〉。と語り継がれている。
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━━━……とまぁ、こんな感じで生まれた厄除師。
昔は公共の場で活躍していたけど、現在は国の事情で裏稼業になってしまいました。
現代では、ーー
公主もとい社長は普段、探偵事務所で依頼をもらっている状況です。
それを公主の秘書である〈受け子〉さんに内容の引き継ぎをしていて。その受け子から聞いた依頼を担当厄除師たちが、担当区域内の案件を裏で処理をしているんです。
彼らの存在は今では、国内と各国政府の一部しか知らない状況。
厄除師の仕事貰える流れは、基本的にこのような流れになりますね。
国もしく一般人
↓が依頼
【公主】
↓が伝える
『受け子』
↓裏で依頼する
「厄除師」が隠密に処理する
世間で言うと……基本雇用形態は〈業務委託〉になる。
上級者になると、依頼をお任せされる事が多くなり正社員かアルバイトの選択ができる。しかも社会保険完備、有給休暇。
このご時世に合わせた、年に一回の健康診断、リフレッシュ休暇、保養地施設の無料券、医療費無料、資格取得無料援助などの福利厚生が付けられるので目指す者は多い。
国が暗黙の了解で裏稼業で存在している、厄除師というシゴトだからこそ生まれた福利厚生。
普通は、無いのだ。特に、━━━医療費無料は。
コレが、現代の厄除師雇用の流れですね。
各本家に存在しているリーダーである、〈当主〉も上級者レベルの為、例外ではない。
その内容に合わせて僕たち(十二支)に振り分けられます。詳細により報酬も違ってくるので、ある意味取り合い合戦になりますね☆
まぁ、個人事業主寄りのシゴトと考えて頂けたら分かりやすいと思いますよー♪
━━━━な・の・で!未一族の稼ぎ頭の当主である、僕の気持ちを気づいてくれない鈍感アル中女、〈未谷 耀さん〉。
うちの愚弟と酔っ払って、〈雷の能力〉を誤爆させて自宅を半壊したアホ猿当主。〈
この二人には過去の件で腹が立ったので、海外に強制的に行ってもら……いや、語学力を存分に発揮して貰えるように。
年下ながらの僕は尊敬を込めてと。尊敬をこ・め・て。(嘘)
応援をしようと思い、先日公主様に提案を出したんですよ。改めて思うと……
僕って他人思いだよなぁ〜。(しみじみ)
と、いうわけで!いつものように今から。僕は家族の為、家計のために潤いのある案件を探しに行ってます☆
…………という、いつもはこの流れですが。
今回はいつもと違う〈案件〉話しをしようと思います。
コレは、僕にとって初めての〈おシゴト〉で、次の小説のネタにしようと思った最高の案件話しです。
この案件は、講演会を見に来てくださっている皆さんにだけ教えるんですからね〜。ここだけの話ですよ☆
では!皆さんの元へ送信したお手元にあるアプリのURLを開いてください。そうすれば……僕が 記録した案件を〈観ること〉ができますのでね。
それでは、このひとときを楽しんでくださいね!行ってらっしゃーい♪