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ー記憶ー28

「『たったそれだけー』ってなんやねん。お前、誰とも付き合ったことがないから、そんなこと言えるんやろ? そりゃ、恋人に拒否られたら、誰だって嫌われたと思うんが普通やろ?」

「へぇー、雄介はそう思ったんだ。ってか、俺はそうは思わないな……。ってかさ、望からその拒否された理由聞いたのか?」


 その和也の言葉に雄介は呑んでいたビールの動きを止める。


「……え? へ? 何やって? それって、どういう意味なん?」


 雄介は和也の言葉に答えを求めようとしていたが、和也の方は首を傾げるだけで留まる。


「さぁな……」


 雄介はその和也の言葉に何か言い返す言葉が見つからなかったのか、言葉を詰まらせる。 それと同時に和也の方は話を進める。


「それと、昨日、望からの電話も無視したろ? その電話だって望は悩みに悩んで雄介にかけたんだぞ! それなのに、お前は完全に無視してたみたいだけどな。その携帯に残ってる望からの留守番電話のメッセージだって、どれだけ悩んで望はお前に言葉を残したか分かってるのか? ま、お前はさ、望と付き合ってそんなに長くないから望のことが分かってないかもしれないけど、アイツ、俺に何度もお前のことで相談してきてるんだぞ。もし、望が本気でお前のことを想ってないなら俺に雄介のことについて相談してくると思うか? そのことを考えてみろよ、そしたら、自ずと答えが出てくるだろうが!」

「……って、事は……望は……俺に本気でってことなんか?」

「だろ? 嫌いだと思う奴に電話すると思うか? ま、少なくとも嫌いになった奴の所には電話さえもしなくなるだろうけどな……。それに相談なんかもしてこないと思うぜ」

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