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ー記憶ー59

 雄介はその望の言葉に安心したのか、望がいない間は望に『寝る事が一番』と言われたことも思い出し、再び雄介は眠りにつくのだった。


 その日の夕方。


 雄介はゆっくりと目を覚ますと、半身を起こして大欠伸をする。


「んー! 大分、良くなったみたいやなぁ。ほなら、夕飯でも作るかな?」


 雄介は望のタンスから洋服を拝借すると下へと向かい、冷蔵庫の中を覗くのだ。


 そしてその冷蔵庫の中に入っている食材で夕飯を作り始める。


 丁度、雄介が夕飯を作り終えた頃、望が帰宅して来たようで、


「ただいまー」

「おかえりー!」


 そう、今日の望は部屋に人の気配があったからなのか、試しに挨拶をしてみたところ、案の定返事があったということだ。


 両親がいなくなってからは誰もいないのが当たり前になっていた家。だけど今は人の気配がある。


 望は急いで部屋に上がって来ると、人の気配があるリビングへと向かうのだ。


「お前、もう、平気なのか?」

「ああ、平気やで! 望のおかげでな」


 そう元気良く返事をする雄介。


 望はそんな雄介に胸を撫で下ろすのだ。


 フッと望は気付くと部屋内にはいい匂いが漂っている。


 仕事から帰って来てお腹を空かしている望からしてみたら本当に食欲をそそるようないい匂いだ。


「お腹空いたやろ?」

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