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ー記憶ー60

 タイミングよく、雄介もこちらにやってきた。


「ああ、お腹空いたかも」


 初夏ということもあって、雄介はタンクトップ一枚にエプロン姿だ。仕事で日に焼けているからか、褐色の肌に白いエプロンがよく似合う。そんな雄介の姿に見惚れていると、急に雄介が声をかけてきた。


「ほな、飯にするな」

「え? あ、ああ」

「飯の用意するし、着替えてきぃ。この時期のスーツは暑いやろうしな」


 確かに雄介はタンクトップ一枚でいるが、望の方は長袖のスーツなので、確かに暑い。


「ああ、じゃあ、着替えてくるな」


 そう言うと、望は着替えるために自分の部屋へ向かった。


 部屋に入ると、目に入ってきたのは、きちんとベッドメーキングされたベッドだ。


 そこで息を吐く望。


 雄介の性格というのはきっと豆なのであろう。


 これが望だったら、朝なんか特に忙しくてそのままで出かけることが多いのだから、布団なんかは起きた時のままに決まっている。


 そして、望は着替えると雄介がいるリビングへ向かった。


 下へと向かうと、テーブルには雄介が作った料理が並べられていた。


 そこには肉料理も野菜料理もあり、その数に圧倒される。


「やっぱ、お前ってすっげぇんだな! 俺にはこんなに沢山の料理は作れねぇぜ。」

「今日、一日何も食わんでおったら、めっちゃ、腹減っててな……それで、調子に乗って作ってしまったっていう事やんな……」

「そうだったのか? ま、いーや……お腹空いたし食べようぜ」


 二人は席に座り、両手を合わせて、


「いただきます」

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