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ー記憶ー62

 今後一緒に暮らすことになれば、また望のことで新しい発見ができるのであろう。


 雄介は一緒に暮らすことに期待に胸を膨らませ、食後のコーヒーを両手に持って望が座っているソファへと腰を下ろす。


「ほい、コーヒー」

「ん? あ、ああ……ありがとう」


 いつの間にか雄介は望が淹れるコーヒーのやり方を覚えていた。


 望の場合は、気持ちだけ入っているミルクと砂糖の気持ちだけのカフェオレ。


 望はそれを受け取ると口にする。


 人に淹れてもらったコーヒーというのは美味しいと思うのは気のせいだろうか。いや、きっと雄介が淹れてくれたコーヒーだからなのかもしれないのだが、こうも疲れた体を癒してくれるような気がする。


 今の望は幸せの絶頂期にいるのかもしれない。


 今、この時を恋人と一緒にいられるのは本当に幸せな時間なのかもしれない。


 気付くと望はコーヒーカップを持ったまま雄介の肩へと頭を寄りかからせていた。


 きっともう望はかなり雄介に心を許し始めてきているのかもしれない。


 既に望はテレビを見ながらリラックスしているのだから。


 そんな望の様子に雄介は微笑みながら望の頭を撫でる。 雄介が暫く望の頭を撫でていると寝息が聞こえて来る。


 それに気付いた雄介は望の顔を覗き込むと、望は器用なことにコーヒーカップを持ったまま寝てしまっていた。


 雄介は望を起こそうと思ったのだが、望が持っているコーヒーカップをそっと取ってテーブルの上に置く。そしてそのまま望を寝かせておくことにしたようだ。

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