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ー記憶ー91

「うん……ハクション! もう、行こうぜ。 早く着替えてぇし」

「ああ、そうやな。 洋服屋はどこやろうか?」


 雄介の方は望のその言葉で望から離れて洋服屋を探し始める。


「あ! あった!」

「おう!」


 雄介は洋服屋を見つけると指差す。


 その場所というのは今は出たデパートから少し離れた商店街の中にあり、二人はその洋服屋を目指して歩き始めるのだ。


 そして店内へと入ると、望は適当に選びレジへと向かう。


 そこでクレジットカードを出したのだが、どうやらそれは通らなかったようだ。


「これって乾いたら元に戻るのかな? ってか、財布中、あのスプリンクラーのせいでビショビショじゃねぇか……」


 望は財布の中を開けると小銭もお札も中身はビショビショになっていた。


「どやろ? 戻るんかな? 再発行してもらった方がええんと違う? ま、とりあえず、ここは俺が出しておくし」

「ああ、サンキュー……それは後で払うからさ」

「ええって、デート記念って事にしとくから」

「……そうか。ありがとうな」


 望はそこで新しい服に着替えると、二人は今度は検査のために病院へと足を向ける。


 だがその途中で足を止める望。


「ちょ、ちょ……待った……」

「へ? あ、ああ……疲れたんか? ほな、あの木の下のベンチで休もうか?」


 あの火事の後に歩いたからなのか、望はあの火事で体力が消耗してしまったのか急に休みたいと言い始める。


 そして木陰のあるベンチへと急ぐのだ。


「ホンマに大丈夫か?」

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