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ー記憶ー105

 そして、今日もまた雄介は誰もいない家へと帰宅する。


 明後日は再び面会時間から面会終了の時間まで居られるだろう。和也が語るには、日常の会話には問題がないとのこと。先ずは友達として近づいていくべきだろう。無理に記憶を戻そうとすると逆に困難かもしれない。今は、とりあえず望の記憶が戻ってくれることを祈るばかりだ。


「まぁ、今は少し寂しい気もするけど、望が死んでしまうよりは生きているんやし、それはそれで十分やしな」


 前向きに考えると、帰宅して料理を始める。料理を食べながらテレビ番組を見ているが、やはり何かが足りない気がする。もう独り暮らしをして長いはずなのに、今はこんなにも寂しさを感じる。それは、雄介の隣に望がいないからなのかもしれない。

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