やはり、本当に雄介の言う通りだった。今まで住んでいた街並みが変わり果てていたのだから。
道は瓦礫や街路樹で寸断され、建物も崩れてしまっている所がある。地図が頭の中に入っていたとしても、本当に行けるかどうか分からないほどに外は変わってしまっていた。それでも自分の家がどうなってしまっているのかが知りたい。小さい頃からずっと住んでいた家。だからこそ、気になる。
望は一つ息を吐いて、『行こうぜ』と雄介に声を掛けた。
雄介は『ああ』と答えると、何やら沢山の荷物を持っていた。
「ん? その荷物は?」
「これか? もしもって時にって思うてな。もし、何かあった時には助けられるやろ?」
「ああ、まぁ、そうだけどさ」
「ほら、前にデパート火災があったやんか、あん時、めっちゃ俺は悔しい思いしとったしな。なら、備えあれば憂いなしって事で持って行くって訳や」
雄介は切なそうに話す。あの時のデパート火災のことを思い出していたのだろう。
そして、ゆっくりと歩を進めた二人。
今は道なき道を歩いて行くしかない。
望は動き慣れてないせいなのか、息を切らし始める。
「はぁ……はぁ……やっぱ、無理だったのかな?」
「せやから、俺、言うたやんか……」
雄介は呆れたように言いながらも望の先を歩く。
「とりあえず、俺が先に歩いて安全な場所を確保しながら行くし、それに付いて来てな」
そう言いながら、雄介は望に手を差し伸べ、笑顔で言う。
「へ? あ、ああ……」
前よりも逞しく見えるのは気のせいなのであろうか。ただ単に望の色眼鏡がそう見えているのかもしれないが、それでも雄介はレスキュー隊になっているのだから、さらに鍛えられているのかもしれない。
そんな雄介に望は付いて行くのだ。