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ー空間ー190

 雄介はやはり昨日の疲れがあったのだろう。どうやらすぐに寝入ってしまったようだ。


 それから数時間後、雄介はメールによって起こされる。


「今頃……誰やねん……」


 そう悪態を吐きながら携帯を開くと、悪態を吐いていたのが嘘のようにすぐに笑顔へと変わるのだ。そう、メールの相手は望だったからだ。そこには、


『今から帰る』


 とだけ書いてあった。


「案外、早かったんやな」


 そう雄介は独り言を漏らして起き上がる。


 だが案外早かったと思われたが、もう外は真っ暗で、時計に視線を向けると既に夜の七時を回っていた。


「ん? もう、こんな時間やったんかいな……」


 雄介は未だに痛む背中を引きずりながらも階下へ向かい、冷蔵庫の中を漁ると望のために夕飯を作り始める。


 今終わったのなら、多分、一時間以内には帰宅できるだろう。それくらいでできる物を探す。


「玉子あるしー、オムライスやな!」


 そう独り言を漏らすと雄介はオムライスを作り始める。


 今日、望には雄介の車で行かせた。雄介の車にはナビがある。だから安心して待っていられるというわけだ。さっきの望からのメールで住所も教えておいたのだから、それを入力すれば大丈夫だ。


 それから雄介が夕飯を作り終えてソファでのんびりしていると、雄介の家特有の門の扉が開く音が聞こえてくる。


「ただいまー」


 という望の声に反応して、雄介は急いで玄関へと向かう。


 それはまるで旦那さんが仕事から帰ってきて、奥さんが食事の用意をしていて、旦那さんが帰ってきたら玄関へお出迎えするという姿が、新婚さんのようだ。

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